二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.62 )
- 日時: 2010/08/04 12:36
- 名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: NHSXMCvT)
- 参照: http://www.ikyu.com/dg/guide/acc0/00001290/00001290a.aspx
それから蓮と塔子は、しばし稲妻町で食べ歩きをしたり、観光したり。雷門イレブンは今頃何をしているのか知らないが、他のメンバーには申し訳ない休日。しかし、そんなことをしていると、日が暮れるのも早く、気がつくと町中の時計は午後6時を告げていた。
時計の下の石づくりに座って雷門名物の人形焼きを頬張っていた蓮と塔子が、
「もう六時?」
同時に声を上げた。蓮は人形焼きを飲み込み、
「今日ってまさか野宿?」
不安げに空を見上げる。すると塔子が心配するな! と胸を張る。
「スミスたちに頼んで、ホテルを予約してもらったんだ。今日は、そこに泊ろうよ」
「ところでさ……塔子さん」
今まで気になって仕方がなかったことを、塔子にズバッと尋ねる。
「ホテルといい、飛行機のチケット代と言い、本当に出してもらっていいのか?」
「大丈夫だよ! スミスたちがいいって言うんだから」
友達の金の分もあたしが出すのは当然だ! と笑顔で塔子は言ってくれるが、実際問題いくら彼女が払ってくれているのかわからないので、ますます蓮の不安と申し訳なさは募る(つのる)一方だ。
しかし塔子が言うなら大丈夫だろうと無理やり自分を納得させ、気分を切り替える意味合いも込めて、
「ところでそのホテルって言うのは、この近く?」
話を切り替える。
「ううん。明日飛行機に乗るから、近くの方がいいと思ってさ、空港まで電車で数駅って場所に取った。そろそろチェックインもできる時間だし、行こうよ!」
「そうだね」
そうして稲妻町から電車を何本も乗り換え、さらにそのホテルの最寄駅から、歩く頃には、すっかり七時を回っていた。空は暗いが、都会のネオンが煌々と光り輝いているので眩しすぎるほど。その下で、
「……これが……ホ……ホテル?」
ホテルを見た蓮が震えた声で言った。
都会によくある全面がガラス張りのビル。光りながら夜空に向かってそびえたつ様子は、東京タワーなんかを連想させる。その造りは一般人の蓮からすればどうにも豪華だ。塔子と蓮が立つ入口は外国風の大理石造りで、上には黒い石に金色の文字でホテルの名が浮かび上がっている。横にはしゃれた西洋風のランプが。さらに出迎えのボーイが立っている。
そして左右に視線を向ければ、リムジンに上品そうな服を着た淑女紳士たち。
「ああ。パパの知り合いが経営しているんだ。だからいつもより安く泊まれるぞ」
がくがくしながら塔子の袖を掴んで進んでいく蓮は、もはや涙ぐんでいる。まるで歯医者に連れて行かれる幼い子供のようだ。そんな情けない姿の蓮とは対照的に、塔子はしごくあっさりしている。
「ほっほほほほ……ほんとうにここにとまるのか!?」
蓮が塔子に耳打ちをする。
「なに言ってんだよ。このホテルはあたしが泊った中じゃ結構安い方だぞ。白鳥ったら大げさだなぁ」
塔子は笑い飛ばして見せる。
それから情けない姿の蓮をロビーのソファに放置しておいて、塔子はフロントへと進む。やはり外と違わず(たがわず)ロビーも豪華であった。
ソファに放置された蓮はシャンデリアを見つめて、目を丸くしてる。
「財前 塔子様に白鳥 蓮様ですね。ご連絡承っております」
「どうも」
フロントのホテルマンと塔子が会話を交わし、チェックインの手続きをする。
それが終わるとボーイが現れ、二人の荷物をすべて真鍮製のキャリアカートに乗せた。エレベーターに乗り泊る階へと到着すると、派手ではないが優雅さを醸す部屋に案内された。ボーイが恭しく(うやうやしく)礼をして退室した後、
「あ〜疲れた」
蓮は靴だけを脱ぎ、ベッドに倒れ込んだ。塔子はもう一つある別の部屋に荷物を置きに行く。やはり中学ともなると、異性を意識するものだ。
改めて蓮は部屋を見渡す。ベッドの横には立派な木製の机。上には白いティーカップとポット。そして窓側に置かれた本革で作られたらしいソファ。イギリスとかからの輸入品か。ベッドの上にはポストカードサイズの抽象画が、額縁に入れられ飾られている。
「白鳥! すぐ夕飯に行くぞ!」
塔子にせかされた蓮は、
「……あ、ああ」
しぶしぶ起き上がる。
そして二人はエレベーターで食堂へ。ボーイに案内されて座る。
高級レストランを思わせる白いテーブルクロスに机、イス。照明はいい塩梅に調節され、中は少し薄暗い。そしてバッグに流れるのは美しいピアノの旋律。
「僕たち、なんか浮いているね」
テーブルの上にある高そうな食器や、倒したら簡単に割れそうなグラスを見ながら蓮が小声で言う。
周りにいるのは下にいた上流階級らしい紳士淑女。彼らから見れば、ジャージ姿の二人はきっと奇妙に見えるに違いない。いや、そうだ。ひそひそ話をする紳士淑女が蓮の黒い瞳に映る。
「そうか? パパとホテルに泊まったら、こんなもんだぞ」
塔子が、すでに運ばれてきたステーキをフォークとナイフで、きれいに切りながら答える。周りの紳士淑女に負けない、美しい切り方だった。
「塔子さんは、テーブルマナーがなってるな」
両親に聞いたことがある知識と塔子のみようみまねで蓮は、下品にならない程度にステーキを切って行く。
「白鳥だって。なかなかだぞ」
「そ、そうかな」
高級レストランで楽しそうに話すジャージ姿の二人は、それなりに浮いていた。
やがて夕食が終わり部屋に戻った二人は、順番でシャワーを浴びる。
「じゃあな白鳥! おやすみ!」
ピンクの髪をぬらしたままの塔子が、隣の部屋に消えて行く。
「おやすみ、塔子さん!」
蓮はそこまでは精一杯の笑顔を作ってあいさつを返したが、塔子の姿が完全に見えなくなると、
「こんな高級ホテルに僕が泊っていいのか……いいのか」
またベッドに倒れ込んで苦しみだした。
〜つづく〜
今日もサッカー関係なしw後2,3話関係ない話が続きますが許して下さい^^;さっさと白恋行け〜って気がしますが色々書きたくて><次に北海道には行きます。ガゼルを近く再登場させる予定なので、ファンの方はお楽しみに☆(また意味になりそう^^;)
ところで蓮と塔子が泊ったホテル、私の描写が下手でわかりづらいと思います。URLに参考にしたホテルのガイドを張っておくので、よければ参考にしてください♪