二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.87 )
日時: 2010/08/07 15:36
名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: 2lvkklET)

 ざわっ……ざわっ……少年を中心として、騒ぎが波紋のように広がる。
 「え? あいつが?」とか「嘘だろ」とか言う言葉が、あちこちで飛び交う。

「な、お前が『吹雪 士郎』!? あの熊を素手で倒して、一試合に十点叩きだしたという『ブリザードの吹雪』が、お前?」

 驚愕の表情で円堂が尋ねると、後ろの席にいた染岡が急に立ち上がり、

「んななよなよしたやつが、豪炎寺の代わりになんのかよ!」

 吹雪に大声でくってかかった。怒らせやしないかと周りがハラハラする中、吹雪は少し頬を膨らませて、とげとげしい口調で返す。

「なよなよだなんて失礼だなぁ。キミこそ、汗臭そうでボクは苦手だなぁ」
「んだとぉ!」

 言わせておけばこの野郎っ! と怒号がし、染岡は席を乗り越えて吹雪に躍りかかろうとする。吹雪の席はだいぶ離れているが、そんなことも頭に入らないくらい怒りが脳を支配しているらしい。
 が、隣の鬼道にポンと肩を叩かれ、

「……染岡。少し落ち着け」
「覚えてろよ! 吹雪!」

 なだめられた。
 染岡は悔しそうに捨て台詞を吐き、かなり乱暴に席に座った。

「ごめんな、吹雪」

 キャプテンの円堂が詫びを入れると、吹雪は微笑を浮かべ、横に首を振った。

「ううん。気にしていないから、大丈夫だよ」

 それからまた苦笑いをして、

「みんなが勝手な噂を流してるみたいで、よく大男と勘違いされるんだ。でもこれが正真正銘の『吹雪 士郎』だよ。よろしくね」

 すっと片手を円堂に差し出してきた。

「ああ、よろしくな!」

 円堂はしっかりと吹雪の手を握り、握手を交わす。体温はすっかり健康な人間並みに回復していた。
 そのはるか後ろで、

「へっ。オレはお前を認めねえからな」

 染岡がつっけんどんに言ったが、吹雪には余裕綽々で「よろしくね。染岡くん」とか返されてしまい、染岡は強く奥歯をかみしめた。

「ならついでに白恋中学校まで送って行ってやろう」
「蹴りあげられたボールのようにまっすぐ……進んでください」

 白い雪の中を、キャラバンは進んでいく。

〜つづく〜
長すぎて3分割になってしまいましたぁ^^;
北海道編はボリューム満載ですね;;