二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: イナズマイレブン 試練の戦い ( No.9 )
日時: 2011/02/01 16:59
名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: Ua50T30Q)
参照: 受験が近いので、かなりスローです。。

 どんよりとした曇り空の下、緑が鮮やかな道を、蓮は必死になって走っていた。
 先ほど何故か母親に「隣町の中学校へ行ってね」と言われた、あの(不幸?)な少年蓮。ちなみに名前は白鳥 蓮(はくちょう れん)。中学二年だ。耳まである短い黒髪と、黒曜石の様な漆黒の瞳を持っていて、なかなか整った顔つきをしている。わりかしらほっそりとした、やせ形の体格だが、こう見えても身体は筋肉がしっかりとついていて、運動が好きな男の子らしい。

「この坂を登り切れば、傘美野中学校だッ」

 肩にかかっている鞄を揺らしながら必死に走る蓮だが、全く息があがっていない。こう見えても前の学校では、テニス部に所属していた。だから走ることには慣れているのである。
 ようやく坂が終わり、傘美野中学校が見えてきた。たくさんの豊かな緑の中に、校舎が見える。壁に塗られたオレンジ色が自分の存在を主張していた。

「あれ? ここって傘美野?」

 異様すぎる静けさだった。遅刻する生徒の叫びも、それを注意する先生の怒鳴り声も。体育でグラウンドを走るみんなの元気な声も……何一つしない。インフルエンザなどで学校が休校したかのように、静寂をもとっていた。
 
「誰もいないのか?」

 注意深く辺りを見渡しながら正門の方角へ歩くと、門の前に一人の女性が立っていた。初めは傘美野中学校を見ていたが、蓮に気がついたのか振り返る。

(美人だなぁ)

 蓮は思わず女性を見入ってしまった。
 背中まである緑がかかった黒髪は、シャンプーのCMに出てもよさそうな程、さらさらしている。おまけに目鼻立ちも整っているし、肌もきめが細かい。体格も蓮と同じく細身だが、彼女の方が足も細い。まさに絵に描いたような美人である。
 
「…………」

 蓮に見られた女性は、冷静な表情を崩さず、蓮に冷ややかな視線を送った。それに気がついた蓮は、慌てて頭を下げる。

「あ、すいません」
「あなたは、雷門中学校の転校生白鳥 蓮くんかしら?」
「え?」

 見ず知らずの女性に自分の名前を呼ばれ、蓮は反射的に頭を上げた。

「……そう、ですけど? 何か用事ですか? 僕に」
「ええ。その傘美野の中にいる、雷門中サッカー部を助けなさい」
「サッカー……」

 「サッカー」の単語を聞いた蓮は、顔を曇らせた。そしてその表情のまま女性に、断わりを入れようとした時。校舎の奥の方で、人間の叫び声がした。続いて、朝と同じく何かが爆発する音。

「これ預かっててください!」

 蓮は女性に鞄を投げると、正門の前に立った。 
 正門は二対の横びらきのタイプで、縦に何本か棒があり、その中央を貫くように横に向かって長い棒がある。蓮は正門の一番上に手をかけると、横棒の上に足を引っ掛け、門をよじのぼる。門の一番上にお腹をのっけると、器用に身を回して反対側へと降りた。

「よし! 小学校のころからやってた甲斐があった」

 少し痛む腹をさすりながら、蓮はグラウンドを一気に駆け抜ける。そこへ何かが飛んでくるのが見えた。気を利かせて頭を下げると、それは頭上を通り抜け、じゃり、と言う音を出して静止した。
 恐る恐る振り向くと、サッカーボールが白煙を出しながら、地面にめり込んでいた。ただサッカーボールとはいえ、本来白い部分は黒く塗られ、黒い部分は濃い翡翠のような色で塗り分けられている。

「まだ雷門サッカー部が残っていたのか」

 ボールが飛んできた方向から、一人の人間が歩いてくる。黒いローブに身を包んでいて、顔を伺えない。蓮はその人間を、思い切り睨みつけた。

「お前は……誰だ?」
「ボク?」

 蓮の睨みを気にしないのか、ローブ人間は歩みを止めない。蓮の横を通り過ぎると、サッカーボールの前でかがみ、ボールを持ち上げた。そのまま、

「今日で2回目だ。本当に雷門の人間たちは、名乗らせることが好きなんだね。ま、いっか。ボクたちは……「エイリア学園」。遠い星「エイリア」からやってきた、宇宙人さ」

 聞いたこともない学校名を名乗った。

「エイリア学園? 偏差値高そうだな……」
「サッカーっていう秩序の元に、世界に力を見せる。それが「エイリア学園」さ」
「早い話が、サッカーで世界侵略する気の学校ってことか。でも。サッカーだけじゃ、相当難しいと思うけど? 侵略」

 蓮は強がりから、相手を嘲笑(ちょうしょう)した。こうでもしていないと怖い。今、話しているのは自称であっても宇宙人。油断はできない。
 構える蓮に対し、黒いローブの宇宙人(自称)は、淡々とした口調で返してくる。

「だったら教えてあげる。試合に参加しなよ。ちょうど雷門イレブンもぼろぼろで、手ごたえがなくなってきたし。……まあ、後5分しかないけど、試合に参加したらどうだい?」
「5分? むしろ5分で有難い」

 蓮は腕まくりをすると、黒いローブの宇宙人(自称)を見据えた。

「試合、やってやるよ」
「いいよ。楽しませてね」

〜つづく〜
初めて「エイリア学園」と聞いた時、賢そうなイメージがしました。友達は「バカそう」って言ってましたけど;; そういえばバーンやガゼル、グランは勉強できるんですかね? かなり気になります^^