二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: イナズマイレブン〜試練の戦い〜 ( No.93 )
- 日時: 2010/08/10 11:35
- 名前: しずく ◆snOmi.Vpfo (ID: 2lvkklET)
- 参照: くりまつはボウズガリなのか?
バスに揺られること五分。何もない雪原が不意にひらけて来た。左右に森が広がる。クリスマスツリーでもあるモミの木々が、その雪に染まった姿をさらけ出していた。時折どさっと雪が落ちる音がして、バス内では悲鳴が上がっていた。
その森を抜けると、校舎らしき建物が姿を現す。
東京では見かけない、木製の校舎だろうか。色は土色だった。時計塔のようなものを中心に、楕円形をしたものが左右にくっついた構造となっている。
屋根にはやはり雪がしっかりと積もっていて、茶色と白のコントラストが目を引く。
「あれが白恋中学校か」
円堂は窓を開けると、そこから顔を出す。冷たい風が円堂の前髪を激しく乱す。そんなことも気にせず、校舎へと想いをはせる。
あそこで吹雪の実力を知ることが出来る。あいつの<エターナルブリザード>ってどんな技なんだろう? 考えるだけで、ワクワクが止まらない。
だんだん近づいてくる校舎に胸の高鳴りもいっそう早くなる。
やがてレンガ造りの学校の塀前にやってくると、キャラバンは静止した。
全員が鞄を手に、ゆっくりと下車。外の新鮮な空気を肺いっぱいに流し込む。
「北海道は空気がうまいッスね」
そのでかい全身を使い、壁山が深呼吸をする。腕を上下に振っているので、ラジオ体操をする小学生のようにも見える。
「……でも寒いでヤンス」
しかし、対照的に小柄な栗が壁山の横で身を小刻みに震わせていた。
栗の様な頭にやはり栗色の坊主刈り。マン丸の黒い瞳。鼻の位置には絆創膏がある、小柄な少年——栗松 鉄平である。
「オレは、もう慣れたッス」
「壁山はしぼーが多いからでヤンスね。……ある意味で羨ましいでヤンス」
栗松は心底羨ましそうに、壁山の巨体を眺めながら呟いた。
白恋の生徒である吹雪を先頭に、後から雷門サッカー部がゆっくりと白恋中学校内に進んでいく。
中は雷門中と同じくらい。あちこちに、雪を被ったモミの木が点々としている。
校舎はやはり木製だった。木材の目が見えるように組まれている。
校舎の前には丸い広場があり、時期が時期だからか白い氷が張っている。その上をジャージにニットキャップやら、マフラーをまいた生徒たちが楽しそうに滑っている。転んでいるやつも数人いるが、ほとんどが支えなしで進めている。
そんな中を進んでいると、吹雪の存在に気づいたらしい女子生徒が声を張り上げた。
「あ、吹雪くんが帰って来たっぺ〜!」
白恋の生徒が止まった。話していたものは顔を上げ、下校途中のものは足を止めた。一斉にこちらを見る。一斉に人が雪崩のように押し掛けてくる。
それを合図にしたかのように吹雪は主にというかほとんど女子に、雷門サッカー部は白恋の中学の生徒たちに、それぞれ囲まれてしまう。
「FFの優勝校、雷門中サッカー部までいるっぺ! しかも吹雪くんが雷門中のジャージを着てるっぺ。どうなってるっぺ?」
「サインくれー」や「握手を!」と矢継ぎ早に声がどんどん上がって行くが、あまりにも人が押し合うせいで雷門サッカー部は潰されかけていた。憧れの熱気が暑苦しさを生み出し、いっせいに押すことが息苦しさを生み出す。
特にキャプテンである円堂の被害は尋常じゃない。人の波に完全に飲まれ、頭が出たり下がったりしている。
「お、落ち着いてくれ。苦しいのだが……」
鬼道が前にいた茶髪のショートヘアーに、昔の笠(かさ)を被った小さい女の子に訴える。すると彼女は目を白黒させ、腹の底から声を出した。
「みんな〜もっと広がるっぺ! 雷門サッカー部のみなさんが苦しいって言ってるっぺ!」
その声で全体的に2,3歩ほど下がってくれた。
北海道の澄んだ空気がようやく戻ってくる。安堵のため息が一斉にもれた。
雷門サッカー部は顔を真っ赤にしながら、冷たい空気を必死に吸い込む。その横で、
「お帰りなさい! 吹雪くん! 昨日の1時間目から、ずっとどこになにしに行っていたの? スキー? スケート? ボブスレー? ルージュ?」
女子の集団に囲まれた吹雪が、そんなことを尋ねられていた。
「あいつ……そんなにスポーツが出来るのか」
人に飲まれたせいで頭がぼーっとしている円堂が、感心するように言った。
「ええ。吹雪くんは、ウィンタースポーツ全般が得意なのよ。それに優しいし、ルックスもいいし——まさに完璧! 素敵すぎるわ〜!」
円堂の傍にいた女子が解説をし、恍惚(こうこつ)の表情で吹雪を見つめる。その眼差しは陶酔(とうすい)に近い憧れに満ちていた。ときおり、彼女がため息を漏らす。
「……でもみんなに会えなくてさみしかったよ」
「きゃーっ!」
その女子に呼応するように、女子の黄色い歓声が上がった。
「吹雪さんってモテルんですねぇ」
「ったく! あんなやつがすごいストライカーなわけがあるか!」
春奈が素直に感想を漏らすと、染岡が敵意に満ちた面持ちで吹雪を睨みつける。
するとトタン、みるみるうちに女子の形相が変わる。染岡はいっせいに数人の女子に取り囲まれた。
「そこの坊主! 吹雪くんの悪口言わないでよ!」
「吹雪くんに嫉妬するのはわかるケド、それは彼の実力を見てから言って方がいいと思うけどな?」
「そうよそうよ! あなたなんて、吹雪くんにやられちゃえばいいのよ!」
ほとんど同時に食ってかかってくる。その上早口でまくしたててくるので、染岡には、『そこの吹雪くんに嫉妬するのはあなたなんて悪口を見てからやられちゃえばいいのよ』と聞こえていた。
「って言われてもな……」
それだけでは気が済まないらしく、女子は吹雪がいかに素晴らしいかを永遠と語りまくってくる。
染岡は心底ウザそうにため息をついた。
もはや女子たちの独壇場(どくだんじょう)である。
そんな光景を見ていた瞳子が、女子の間を通る。不思議なことに瞳子が黙っていても、道は勝手に開かれていった。吹雪に近づくと、
「吹雪くんの実力を確かめるためにも、この学校と練習試合をさせてもらえないかしら?」
と言った。
そして校舎が飛ばんばかりの叫声(きょうせい)が上がる。澄んだ空気を切り裂く。
「あああああああっ! あの天下の雷門中と!?」
「す、すごいことになったわね!」
白恋の生徒たちがぎゃあぎゃあと騒ぎ立てる中、吹雪だけは冷静な表情で瞳子を見つめる。
「へ〜面白そうですね。ボクは構わないですよ」
「それじゃあ決まりね」
〜つづく〜
白恋そのいち〜!しばらく蓮と塔子は不在のまま。
ところで本当に白恋っていいですよねvイナイレ世界にトリップ出来るならこの学校か、韓国のチームに入りたいと思いますvあ、後クリック数が1200行きました。いつも有難うございます!^^本当にお礼がしたいです。企画とかやるべきですかね?他の書き手様を真似して、リクエスト小説?とかです。書いてほしいカップリングと内容を〜みたいな。後、人気投票とか?う〜ん^^;どうなんだろう。
そういえばファイアがベースなのに、ブリザードベースな気がしてきたvガゼルが目立ちすぎですねぇ^^;京都で南雲出す予定ありなので、頑張ります。