二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【D灰】…空白の歯車…続きup…オリキャラ募集中! ( No.125 )
- 日時: 2010/07/29 10:30
- 名前: なさにえる (ID: ad5ZdhUW)
第4夜 喧嘩上等
「あいつ、絶対殺す…」
静かな決意を固めてアリスは一人その言葉を呟いていた。
水の都と呼ばれる美しい都市___ヴェネチア
その"平和"をぶち壊してる人間、、、いや、パスカヴィルが二名。
一人は身の丈はあるような剣をもう一人は細身の日本刀を構えて大喧嘩を始めていたのだ。
「さっさと斬られろ!!!」
「誰がてめぇのために斬られるか、馬鹿」
「ぁんだと!?」
____斬!!!
タウが避けた側から広場のタイルに深い溝を作るゼン。
すでにそんな溝で広場は悲惨な有様になっていてもはや人間達は恐ろしがって近くには誰も見えなくなっている。
理由は知らないが一方的に斬りまくってるゼンと鞘に入ったままの刀で防御するタウ。
「あーあ、どうすんのよ。これ」
アリスはベンチに座って現状を考える。
そろそろ地元の人間が警察を連れて戻ってきてもおかしくない時間帯だ。
「そろそろ引き上げるよー」
____っていって聞くような奴らじゃないか。
飽きれるアリスの視界に数名の警官の制服が移った。
「…なんだ貴様ら!!!」
「ぶ、武器をしまえ!!!」
「きちゃったよ……」
ゼンとタウは警察など完璧に無視して喧嘩を続けている。
つまり、この状況をアリスが片付けることになるわけであって……
「……………めんどくさいなぁ」
いっそこのまま二人に片付けてもらうのが得策だがここまで喧嘩に夢中になるとよほど邪魔されない限り自分たちの世界で戦い続けるだろう。
アリスはひときわ大きなため息をつくと立ち上がった。
「ちょっと、お嬢ちゃん!!!こいつらと知り合いなのか!?連れならどうにかするんだ!!!!」
タウとゼンを止めるのを諦めた警官はまともと判断したアリスに警官はなんの警戒もなく命令口調で話しかけた。
彼女が女性だから……女性は弱いものだから……弱いものに危険はないから………
その警官の決め付けともとれる考えが一つの異常を感じ取る時を遅れさせた。
そして彼は次の瞬間起こる惨劇を予測することなど出来るわけもなかったのだ……
サクッ………………
空気が裂けるような音がした。
それはとても軽い____軽い音だった。
「ぇ」
警官の首筋から血が吹き出した。
声も出せずに倒れる仲間を言葉を発することも出来ずに見つめる警官。
銀色のナイフに赤黒いシミを残しながらアリスは視線を警官に向けた。
「マジで殺すゎ……レオナルド。あんないらつく奴らと一緒にいたら…………」
「き、貴様ぁあぁぁぁ!!!」
震える手で銃を握った警官にアリスがナイフを突きつけた。
ライト
_______月_______
そして警官はアリスの紅色の瞳を見た。
________あれ、さっき茶色じゃなかったっけ_______
警官の疑問など関係なく、アリスは口を開いて。
「…………ストレスのはけ口に困るじゃない」
そこで警官の記憶が途切れた。
シンプルな頸動脈切断という生々しい傷跡を残した”警官”の存在を無視するとアリスは刃のような形態の光を放つ腕を軽く振った。
同時に紅い瞳の消え光も消え失せる。
さすがのゼンとタウもその様子にきずき動きを止めた。
「派手にやったなアリス……」
「他の警官来たら言い訳出来るレベルじゃねぇぞ」
「どうすんだ……」
「俺は責任とらネェから」
こういう時だけ意気投合して責任回避をする二人をアリスはじとっと睨みつける。
「根本的な原因があんた達にあるってわかってる?」
ゼンはそれを聞いてそっぽを向き、タウは剣を担ぎ直すと黙って目を閉じた。
ルーム
「空間……」
とたんに三人の周囲に半透明の壁が出来上がった。
「で、どこだっけ目的地」
上手い具合に話を誤摩化すタウ。
「俺はしらねぇぞ」
「てめぇに聞いてネェよ方向音痴……」
「あぁんだと!?」
刀に手をかけるゼン。
「…この狭い空間で刀なんか抜くんじゃネェよ」
「てめぇに指図されたくネェんだよ!!!」
「上等だ刀馬鹿!!!」
「誰が刀馬鹿だよ」
「てめぇのことだアホ」
パコンッ!!!
間抜けな音にそぐわない衝撃が二人の脳天に振ってきた。
「ッ………」
「ぁにすんだアリス!!!」
「とりあえず……」
怖いほどの微笑みを浮かべるアリスを見て二人は思わず黙った。
「…………一度『毒蜘蛛』行ってくれない???」