二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【D灰】…空白の歯車…9/26up まだオリ募集 ( No.170 )
日時: 2010/10/24 10:19
名前: なさにえる (ID: C6w70b2R)

   第7夜

シリスは長い時間をかけてのんびり歩いていた。
たまに研究所で派手な爆発が飽きていた気がしたが彼はたいして気にもとめずに歩き続けた。
この調子なら僕がいかなくてもドロシー1人で制圧出来そうだなどと考えはじめたころにようやく正門についた。





「ここでずっとまってろってんさ。爺〜」
「おかしいの」
「っていうさ、さっきから随分騒がしくねぇか?」
「「気のせいさ(じゃ)」」
「いや、気のせいじゃネェだろ。明らかに……」
「どうせここにもコムイみたいなマッドサイエンティストのシスコンがいるんさね」
「そうじゃな」
「そうそういねぇだろあんな馬鹿兄貴」


そんな会話を遠目に聞いて流石のシリスもあきれてしまった。
(なんだろ、この人たち)
その時シリスの目に彼らの十字架が飛び込んできた。
ヴァチカン直属黒の教団の証__ローズクロス
「へぇ〜……エクソシストが三人も」
シリスはこっちに来て正解だったなと呟くと純粋な笑みを浮かべた。

「ところで……」
黒髪の青年が振り返った。
「俺らになんかよう」
その瞳はまっすぐ木の影のシリスを見据えていた。

「なんだ、バレちゃったのか」
あくまで軽く言うシリス。
残りのエクソシストはシリスを見ると警戒の目を向けた。
まぁ、当然の反応だ。
シリスは思わずほころぶ顔をおさえつつマフラーを握りしめた。




エクソシスト、涙花紅 雪は突如現れた相手をじっくり観察した。
雪国での格好とは思えない格好に長めのマフラー。ほんわかした表情を浮かべている。
まるで……
「人畜無害な天然系ってかんじさね」
まったく緊張感のない感想を述べるラビにとりあえずめんどくさいが軽くつま先踏むの刑をお見舞いする。

「〜〜〜ッ!!」
つま先を押さえて飛び跳ねるラビは無視。

「でさ」
不意にその少年(ラビに言わせれば人畜無害な天然系)が口を開いた。思わず身構えるが少年が口にした言葉は、

「僕はこの建物にどうどうと平和的に入りたいたんなる通行人Aなんだけどさ」

舐めてるとしか思えない能天気で平和な言葉だった。



「で、通れると思ってんのか?」

「う〜ん。YES?」
「NOだよ、馬鹿」
雪はそう言い捨てる。
ブックマンと涙目のラビも臨戦態勢に入る。

「馬鹿は言い過ぎだと思うけど……」

「どっちにせよ、ここまでやってくる者ならアクマ、ノアと考えるのが常識じゃな」

そういうとブックマンの服の袖からイノセンス、天針"ヘブンコンパス"が零れ落ちると不思議な顔をしているシリスの周囲に浮かんだ。

「え〜始めちゃうの?僕は単なる通行人ですってばぁ」
手をばたばた振ってそう主張するがいいかげんその言い訳がきついことに気がついてもいいはずなのに

「まだ言ってんのかよ」
ここまで続けるとは呆れを通り越して感心してしまう。

「珍しいな、爺さんが先制攻撃なんて」
「爺はいつも後方支援さ」
「少しぐらいええかっこしたいじゃろ」
「……理由が不純だぜ、女もいねぇのに」
「うっさいわぃ!!」

そう叫んで指をかまえると無数の針は周囲に飛び散りあっというまにシリスを飲み込んだ。
出来上がる黒い針人形。

「ようしゃねぇさ」
「大人気ネェ」
「若造共は黙っとれ。せっかくの見せ場じゃ」
「……」
雪は面倒くさいと思いながらもイノセンスをかまえた。

「で、貴様何者じゃ。答えないならすぐに殺すぞ」
ブックマンがドスの聞いた声で針人形__シリスに向かって尋ねた。

「……」

シリスは無言だったが不意に針人形の針が小刻みに揺れた。

「……フフ…アハハハハハハハ!!!!!!!」

なんとこんな状況でシリスは笑っていたのだ。
ソレをきいたラビの背中を嫌な汗が流れた。雪も銃口をシリスに向ける。

「せ〜っかく、僕が平和的に解決しようとしたのにさぁ〜。君ら全然聞かないし」
パキン♪パキッ——
軽い音がして数本の針が落ちた。

「おじいちゃん弱いくせに…」




   、
「……俺の機嫌逆撫でしやがっっちゃうもんだからねぇ〜」


___ゾワッ!!!


三人の首筋の毛が逆立った。明らかにいままで三人が話していたシリスという存在と雰囲気。いや纏っている空気ががらりと変わったのだ。


__こいつはヤバい!!!

本能がそう告げている。
「覚悟できてんだろうな、てめぇら……」

天針が弾けとんだ。
「アイスバーン"連弾"!」
雪が叫ぶとホルダーにさしていた四丁のうち二丁の拳銃を取り出してシリスに向けて一気に合計十二発の弾丸を打ち出した。

雪の氷を操るイノセンス__氷ノ心"クリアクラック"__から発射された弾丸は雪が深く積もる地表に当たると巨大な氷の塊を突き上げた。
一瞬で巨大な氷が出現する。

「わしのイノセンスまで凍らせおって」
「手加減してるしまネェからな……これだけで倒せるような奴でもn」

雪の声を遮るように周囲に何ともいえない音が響き渡った。思わず耳を塞ぐ。

「ッ!」
「なんの音さ???」

空気全体が振動するような感覚の後、氷が砕け散った__


____ガラガラッ……

散らばる氷の中から現れるシリスはさっきまでと同じような平和的な笑顔を浮かべていた。





______真っ赤な瞳で



ジリ……
三人は用心しながら数歩後ろに下がる。

「交渉決裂」
その単純な言葉を口にするとシリスはマフラーに手をかけた。







「…………死ねよ」





    ____ロシア、樹海にて戦闘開始____

















「で、」




レオナルドは更にひしゃげた帽子とボロボロの服、顔には平手の後らしきものをつけて言った


「僕らm「そのふざけた面いつまでさらすつもりだ」
「イブちゃん、酷いっ!!」
「五月蝿い」
ゴッ!
鈍い音がしたがアンネ、フィンは無視。

「そのぐらいですんだんだからアリスに感謝しなよぉ」
「アンネに同意」

「まぁ……あとでドロシー姐さんに殺されるだろうがな」


、、、、、、、、、、
全壊状態にある"毒蜘蛛"の店舗を眺めた。

「オレは周囲数百メートルは壊れると思ったけどな……」
フィンは至って冷静に状況を見る。
「アリスが手加減してたんだろ」
イブもフィンの隣で腕組をしながら言った。平然としているがイブその高いヒールの下にはレオナルドの背中がある。
「……イ、イブちゃん。おm」
ガンッ!!

「その続きを言ってみろ……頭潰されたいのか」
「もうふぃふぇるふょ」
「もうしてるよ。だって」
アンネが通訳する。
ヒールが振り上げられた







「まぁ、逆に言えばこれでこの店の店番をする理由もなくなったわけだ」
さらに悲惨になったレオナルドは何事もないように続けた。


「というわけで、私たちも行動を開始しようと思います」

「行き先はどこですかぁ?」
アンネが無邪気に尋ねた。
「アンネ。別にあいつに優しくしなくても良いんだぞ。ほっとかれる方が好きなんだかからな」
「そなの?」
「あいつの存在は基本スルーだ」

「君たち!アンネちゃんに変な教養を教えないように」

「うるせぇよ、はやく行き先教えろ」
「……はぃ」













「とりあえず、行くよ_________黒の教団の本部に」












                          「ちょっとしたごあいさつにさ」