二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【D灰】…空白の歯車…4/6up ( No.260 )
- 日時: 2011/04/30 14:30
- 名前: なさにえる (ID: WdRs4RJ1)
第16夜
アンネはリナリーとリンネに連れられ、クロウとイブのもとへいった。
そして、下半身と腕を石にされたイブの見た瞬間にアンネは放心状態になってしまった。
「これなら、反撃するとか言う気力なさそうね」
リンネはアンネの様子を見てリナリーとクロウに聞いた。
「そうね」
「ですね」
「で、なんで先輩はまた戦闘中に紅茶なんて呑んでたんですか」
「え、問題ありました?」
「大有りですよ!!!ホントにエクソシストとしての自覚あります?」
「ありますよ……(一応」
「わぁ、聞きました?リナリー先輩、クロウ先輩ったら今小声でエクソシストにあるまじき発言してます」
「ちょっと落ち着きましょ、リンネ」
「やっぱり、落ち着くためには紅茶が一番ですよ」
「あら、良い香り」
「今日のはカモミールです」
「先輩方ぁ!!!」
__オレはこんな奴らに
イブは屈辱に身を震わせる。
瞬間、イブの周囲から突如現れたダーツが狙った。
しかし……
「オレの方が多かったな」
「なに言ってんですか。僕ですよ」
バラバラと落ちるダーツの矢をイブは愕然と見つめた。
「アレンくん!神田!!」
「よく生きてましたね」
「ちょっと神田が道に迷いまして」
「っていうか、てめぇのせいで迷ったんだロォが!!!」
「僕を信じた神田の方もいけないと思いますけど」
「あぁ!?」
「もういいから」
リナリーが2人の暴走を止めた。
「あんまり無茶しないでくださいね」
クロウが夢喰をイブの首筋にあてる。夢喰の蓮がイブを捕らえた。
「くそ……」
一方で、終止無言のアンネ。
彼女の脳内では激しい混乱が起きていた。
嘘……嘘だよ………
ワタシや、イブがこんな奴らにやられちゃうなんて………
嘘だ、嘘だ、嘘だ………
ワタシたちはパスカヴィル……
ただ選ばれただけのこんな奴らに…………
イブの身体をこんな風にして…………
こんな風に、こんな風に、こんな、こんな、こんなこんなこんn
アンネの思考はまるで針の飛ぶレコードのように繰り返される。そして、混乱した思考の中で一つの声が導きだされた。
"愛"さなきゃ……
イブをこんな目に遭わせた男も…………
、、、
アンネをこんな目に遭わせた女も…………
妨害したこの女も…………
一度は逃がしたここの人間も…………
全員、全員、全員、全員…………
、、、
アンネは安心していいの…………
アタシが全員、”愛”シてアゲる………
「ヒヒっ」
不意にアンネの口からアンネの者とは思えない言葉が漏れた。
「?」
そばにいたリンネはなにごとかと首をアンネの方に向けた。
瞬間、アンネの纏う雰囲気が変わった。
それまで放心状態で無気力だった空気が一変して暗く重いモノに変わる。
____あれ、なんか空気が重く
リンネがそうおもった時、同時にクロウは長年の経験からアンネの雰囲気の危険性を感じ取っていた。
「リンネ___!!!」
クロウがリンネの身体を掴んだ瞬間、アンネの周囲の植物が一斉に成長を始めた。
「なんだこれ!」
「知りませんよっ!」
アンネの能力をよく把握していない神田とアレンが悪態をつく。
「この子の能力よ」
リナリーがみをよじりながら叫んだ。
しかし、もがけばもがくほど成長を続ける植物達に呑まれていく。
一番アンネの近くにいたリンネはその力をもろにうけることになってしまっていた。
「ッ!!!」
翼を広げて飛ぼうにもそのイノセンスまでもすでに囚われて動かせない。
アレンやクロウたちが助けにはいることもままならない
____成長が速すぎる
クロウはすでにリンネの身体の半分を飲み込もうとしている植物を見て唇を噛んだ。
____しかたない…ですね
「リンネ、絶対動かないでください」
「う、うん」
突然そう叫ばれてリンネは頷いた。
すでに足もとられてかなり難しい要求ではあったのだが、
クロウは右目を閉じると再び開いた。
深い深い紫色の瞳が現れる。
サタン
「…………"冥王"」
そう呟いてリンネに絡み付く植物に焦点をあわせた。
とたんに植物達が蒸発でもするかのように消え始めた。急成長を続ける植物はそれと反比例して減り続ける。
そして、リンネにまとわりついていたモノが消える。
____よし
即座に右目を閉じて、発動をやめる。
解放されたリンネは翼を広げその場から抜け出した。
それを確認して再び右目を開いて発動を再開したクロウも距離をとろうと周囲の植物を蒸発させる。
「ありがと、先輩…」
少し震えているが精一杯強がってみせるのはいつものリンネの声だ。
「とりあえず最後まで油断しないってことはちゃんと覚えておいたほうがいいですね」
フッと笑ってみせるクロウにリンネはほおを膨らませた。
「っていうか、先輩。助けるときにイノセンスの表面までちょっと破壊したでしょ」
「…………」
「あれ、間違えたでしょ?」
「なんのことでしょうね」
「どうなの、答えなさい」
急に命令口調になるリンネに向かって再びクロウは微笑んだ。
「あれ、調整難しいんですよね」
「先輩ッ!!!」
抗議の叫び声をあげるリンネだがクロウはどこ吹く風。
「まぁ、いいじゃないですか。無事逃げられたんでs____ッ!!!」
突然の右目に激痛が走った。
イノセンスの発動が鈍り蒸発のスピードが遅くなった。
____ちょっと、使いすぎたか
顔をしかめるクロウのそばで再び成長の勢いを取り戻した植物が一斉に広がった。
「くっ」
避ける間際になって夢喰を取り落とす。
急成長する植物はその夢喰をその成長力と力でまっぷたつに折ってしまった。
「あぁ〜あ、コムイさんに頼まなくちゃいけないじゃないですか」
苦々し気に折れた夢喰とアンネを見るクロウ。
もはや完璧に発動がとまった悪魔ノ眸のために更にその成長には拍車がかかり、
「界蟲『一幻』!!!」
「十字架ノ墓!!!」
「円舞「霧風」」
「暁ノ明星」
ほかのエクソシストもアンネに向かって、植物にむかって攻撃を仕掛けるが、一瞬その空間が開けても数秒後には再び植物が侵略を繰り返すシーソーゲームになっていた。
しかし、だんだんその状況はアンネに向かって傾いていった。
徐々に自由に動ける場が狭くなり、身体や足が囚われる。
イノセンスを簡単に折る力の前で、もしアンネがその気になれば足の骨など軽く折られてしまうだろう。
焦るエクソシストたちをアンネは狂気に満ちた笑みを浮かべて見つめた。
立ち上がろうとして自分が縛られている事に気づく。
アンネはそれをジッと見るとなんのためらいもなく、引きちぎった。
そして、
アンネの姿が掻き消えた。
「がっ!!!」
クロウの苦痛の声が響いた。
見ればアンネがクロウの火傷をした腕を踏みつけているのだ。
「先輩っ」
「クロウッ!!!」
叫ぶ一方でリナリーの背筋を寒気が走った。
____さっきまでの子じゃない
「まずは、お兄ちゃんからね?」
____雰囲気が全然違うし、なにより
嗤うアンネの深紅の瞳の輝きが増すと、徐々に金色身を帯びてきた。
____冷たい