二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【D灰】…空白の歯車…【復活!!】 ( No.289 )
- 日時: 2012/03/08 00:50
- 名前: なさにえる (ID: vb2iUJ7K)
第19夜
「すぐ治しますからッ!!!動かないでください!!!」
レミーの叫びを皮切りに一斉に皆が動き出した。
負傷者は一カ所に集められ、動ける者は蔓の撤去作業だ。
そしてすぐにラボ内にレミーのイノセンスのヴァイオリンが奏でる癒しの調べが流れた。
アレン、リナリー、神田の傷が吸い出される。
その最中に科学班とハイネが気絶したクロウをかつぐ。
「っ……」
クロウがうめき声を上げた。
「しっかりしやがれ。紅茶馬鹿」
「せ、先輩っ」
リンネがクロウに駆け寄った。
ハイネを手伝ってクロウに肩を貸そうとしたが身長差があるのでバランスが崩れるのであわてて側にいたマリが手伝った。
「俺がやるよ」
「で、でも……」
「大丈夫だ。リンネこそ大丈夫か?」
「……」
「???」
「……もちろんっ、大丈夫に決まってんじゃん」
「?…そうか。怪我あるならレミーに直してもらえよ」
「そんな大層な怪我してないよ。ほら、早く先輩運ばなきゃ」
「あ、あぁ」
一瞬マリが何か言いたげにリンネの方を振り返ったが結局何も言わずに歩いていった。
「…………」
「コムイさん……」
「クロウくんなら大丈夫だよ、イノセンスは大部損傷をうけてるし出血も酷いし回復に時間はかかるだろうが命に関わる怪我じゃない__」
アレンは安心したように息をつくがその顔ははれない。
「……どうした」
「あいつの言葉が気になってんだろ」
ハイネが言葉を引き継いだ。
「そのことか……」
「連絡とれたのか??」
神田も現れる。
いつのまにかあらかたの怪我を癒したエクソシスト達が室長室に集まっていた。
「…………とれてない」
「くそっ」
ハイネは小さく悪態をつくと室長室を出ようとする。
「ハイネくんっ!!!」
「文句は言わせねぇぞ」
「言わせませんけどね」
アレンがきっぱり言い切った。
「無断で方舟使う気だね……」
苦笑いを浮かべるコムイにアレンは笑って頷いた。
「彼の言葉がはったりである事を願うばかりだが、、、」
「はったりとは思えネェな。あいつらならやりかねねぇ」
神田が苦々しく呟いた。
「……まだ怪我が完治してない上に疲れてる君たちを向かわせるのは心苦しいが……いってくれ」
その言葉を聞いて集まったエクソシストたちは力強く頷いた。
「通信ゴーレムはほぼ全てパスカヴィルの女に破壊されて使えない。お互い連絡を取り合えない事をわかった上でくれぐれも気をつけるんだよ」
「「「「「はい」」」」」
アレンの方舟をそれぞれ各地に派遣したエクソシストたちのいる場所につなげると、彼らは仲間の無事を願いそのゲートをくぐった。
◆・◆・◆・◆・◆・◆
____エジプト
今まで空を支配していた灼熱の太陽もかたむきはじめる時刻
そんな時、一つの路地裏で異様な光景が広がっていた。
血まみれで倒れ既に絶命している数人の人間。
その中で微笑む黒髪の女。
そして____
「てっさいあさん!!!」
グロリアの叫び。
テッサイアと呼ばれた青い髪の男は口から血を流しながら立っていた。
「俺がやるってかっこつけた割には対した事無いね?」
紅い瞳でギルバーシュは笑ってみせた。
「この餓鬼が」
少し前……
グロリアに向かっていったギルの前にテッサイアが立ちふさがった。
「俺が相手だ」
テッサイアの手からギルに向かって赤いダーツが放たれた。
、、、、、、
もともとグロリアの方は治癒や防御専門。
戦闘には向いてない。
そのため戦闘派のテッサイアがコンビなのだ。
赤いダーツは発火しながらギルを襲う。
間一髪でそれを避けながらギルは一気にテッサイアの近くに寄ったが、更にその足を踏み出した途端テッサイアは笑った。
「踏んだな」
「?」
「ディアンドボム__」
地雷のように爆発し衝撃がギルをもろに襲った。
至近距離の爆発だったがテッサイアの前にグロリアのイノセンス、千里鏡がふさがり衝撃から守った。
乾いた土が爆発で舞い上がりろくに周囲が見えない。
「ちょっとはやったか?」
そういうがテッサイアの目は油断無く周囲を警戒している。
「まだ前にいますよ」
千里鏡でギルの位置を感知したグロリアが告げた。
「これだけじゃ無理か」
新たにダーツを出現させて持つ。
「テッサイア…………」
土煙から不意にギルのそんな声が聞こえた。
「あ?」
突然名前を呼ばれて怪訝な顔をするテッサイア。
、、、、
「今……憑いたよ」
「は?何が————」
続けようとしても言葉が出てこない。
妙な感覚が身体を走り抜けた。
「???」
突然黙ってしまったテッサイアを不思議そうな目で見るグロリア。
「どうしたんですか……てっさいあさん?」
とたんにテッサイアの身体に激痛が走った。
身体全てが悲鳴を上げているようだ。心臓が早鐘のようにうって呼吸が乱れた。
そして口の中に血の味が広がったと思った次の瞬間、テッサイアは吐血していた。
「かはっ」
「てっさいあさん!!!」
悲鳴のようなグロリアの声が脳内に響くとまた激痛が襲う。
再び喉から血がのぼり、口から溢れて顎を伝った。
「俺がやるってかっこつけた割には対した事無いね?」
紅い瞳でギルバーシュは笑ってみせた。
「この餓鬼が」
珍しく悪態をつく。
「お前……何、しやがった」
「イルネスが憑いただけだよ?
…………テッサイアさん?」
また身体を裂かれるような激痛が走り顔を歪めた。さっきよりも強い痛みだ。
再び吐血しながらテッサイアの脳はギルの能力を考えた。
先ほどと今の条件。状況。
__俺の名前が呼ばれるたびに
背後にいたグロリアもテッサイアの様子から何かを感じ取ったのか叫ぶのをやめた。
即座に衝撃から保護していたイノセンス、加護ノレンズを癒シノレンズに替え温かな光がテッサイアに降り注いだ。
太陽光を利用したこのイノセンスはエジプトのような場所では最大限に力を発揮出来る。
すぐにテッサイアの身体の痛みが引きはじめる。
が、心臓はまだ嫌な鼓動を繰り返している。
「フルネームだったらもう死んでるよ?名前だけだと威力は半減だからさぁ」
ようやく土煙が晴れギルがテッサイアに向かって笑った。
「名前だけで人を殺せるのか……」
「条件はいるよ?それだけじゃなく呼ぶ回数もいるけどね?他人が呼んだんでも威力は減るし、やっぱ僕が言わなきゃ。イルネスはそういうとこわがままだから。そう思わない?……テッサイアさん」
激痛が走るがグロリアのイノセンスがその痛みを相殺した。
「ここならたいていの治療がすぐに出来ます。あなたの能力が何だろうと関係ありません!!!!」
イノセンスを発動しながらグロリアは力強くいった。
「これでチェスのはチャラですよ」
あえて明るくテッサイアに笑いかける。
テッサイアはそんなグロリアを見て苦笑を浮かべた。
ギルはそんな会話をする二人をイライラと聞いていたが、
「じゃあ、あんたから殺すよ」
とたんにテッサイアの脳裏にギルとであった時の光景が甦った。
_______あれぇ、イカレ帽子ったら名前あかしちゃってんの???
せっかくかっこ良く名乗ろうと思ったのに
まぁ、いいや。僕はギル。よろしくね♪________
____あ。わ、私…
「やめろ!!!」
テッサイアが叫んだ。
両手から赤いダーツが飛ぶがギルは身を翻してさけた。
「もう遅いよ」
ギルは冷たく言うと紅く光る瞳を脅えるグロリアに向けた。
「そうだよね?
___________グロリア・カンパネルラちゃん♪」