二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【D灰】…空白の歯車…【2/28up】 ( No.296 )
日時: 2012/03/14 18:08
名前: なさにえる (ID: vb2iUJ7K)


   第20夜


「そうだよね?グロリア・カンパネルラちゃん♪」







静寂。

















___静寂。




































そして、、、







「??」

きょとんとした顔のグロリアがそこに座っていた。

「え、なんなんですか」
自分の身体をきょろきょろと見渡すグロリアに何の変化も見られない。
何かに思い当たった風のテッサイアは叫んで損したとでも言うようにこの様子を見ていた。
取り乱したのはギルバーシュだ。


「な、なんで!!??私は確かにアナタの名前を呼んだ!!グロリア!!グロリア・カンパネルラ!!!」

「え!え!!?」
執拗に名前を連呼されうろたえるグロリアのそばでテッサイアは面白そうにこの状況を眺めていた。
「な、なにがおかしいのよ!!!」
もはやテッサイアの名前を呼ぶ事さえ忘れている。
「いや……」
「グロリア!グロリア!!グロリア!!!グロリア!!!!」
やけくそのように名前を叫ぶギル。
が、グロリアにはまたしてもまったく変化は現れなかった。
そのきょとんとした表情にとうとうテッサイアが我慢出来ずに吹き出した。

「いやぁ、傑作だよ。お前。まぁ、普通はそう思うよな」

「は?なんなんだよぉおぉぉ!!!」
テッサイアに向かって叫ぶのは先ほどまでの冷静な言葉などでなく、イブやヴォルフと話していたときのギルバーシュのものだった。
「簡単だよ。お前の能力はグロリアに傷を付けられないってことだ」
驚いてギルの動きが完全に止まる。
今の間にギルの能力でうけたダメージを幾分回復していたテッサイアは動きを止めるために電気能力を帯びる黄色のダーツをギルに放った。
ギルは避ける事もしない。
ただ動かず立ち尽くして____


「……僕が」




_____________???









     、、、
   「ワタシが憑けない人間なんていないのよ!!!」


突然ギルは叫んで前に飛び出した。紅く光る瞳がライトのようだ。
テッサイアのダーツがあたって電流が弾けるがギルは痛みなどまるで感じてなどしていないようだ。
そして一直線にグロリアの方に駆け出した。


「グロリア!!!」


テッサイアが警告を叫んだ。
「加護ノレ——」
言葉が終わるよりも先にギルがグロリアの目の前に到達してしまった。

イルネス
「病__」




そう呟いたギルは後ずさろうとするグロリアの腕を強引に掴むと、


                                   、、、、、
                          その首筋に____噛み付いた。



「「!!??」」

驚いて強引に振り払うグロリア。
が、次の瞬間にはグロリアはふらふらと膝をついた。
「ハッ、ハッ、ハッ……」
浅く速い呼吸を数回すると胸を押さえ、倒れ込んだ。

「グロリア!!!」

すぐさまギルにダーツを打とうとするがキッとテッサイアの方を見たギルの赤い目を見てうつ機会を失う。

     、、、
「無駄。ワタシが直接憑いたの。もう死んじゃうよ、この子」

笑ってみせるがその目は全く笑っていなかった。
グロリアに背を向けるとテッサイアの方に向き直った。
テッサイアの周囲に浮いていたグロリアの金のレンズ型のイノセンスがバラバラと地面に力を失って落ちた。
適合者がイノセンスを発動する力を失ったのだ。


「もうあんただけ」






名前を知っているという事で優勢と感じているのかギルバーシュは自信満々の表情でテッサイアに近づいた。

しかし、テッサイアの顔には死への怯えも恐怖も浮かんではいなかった。
むしろ浮かぶのは余裕の笑みだ。
その表情を見てギルバーシュはいらだった。


「自分の状況分かってる?」

「分かってるさ。俺の状況も。お前の未来も」

「あんたは死んで、ワタシは生きる未来ってこと?」

「冗談。俺は助かって、お前が倒される未来だよ」



「は?」


「な?」
テッサイアがギルの背後に呼びかける。


「だから、あの子はもう助からないって言って「誰が助からないって?」
ギルのセリフは第三者の声によって遮られた。
驚いて振り返る。
そこにはグロリアがしっかりとした足でたっていた。


「なんで!?ワタシが憑いてそんな風にたってられるわけ……」


「立ってられるからここにこうしていられるんだけど?頭大丈夫か?」
さっきまでとガラリとかわった言葉遣い。
雰囲気やまとう空気も変わってしまったようだ。








「っていうか、テッサイア先輩。そんなあっさりやられるようなキャラだったっけ?」
グロリア__
もはやそう呼んでいいのかも分からない。もちろん姿はグロリアで間違いないのだが…
テッサイアはそんな相手を見て苦笑した。

「お前こそ、やっと出てくれたわけか」
「グロリアの”裏”だからな」



____”裏”ね……



少し複雑そうな表情を浮かべるテッサイアを無視して”彼女”はギルバーシュの前に立ちふさがった。





「こいよ、女。俺が相手してやるよ」