二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 日和月光歌 ( No.126 )
日時: 2010/04/25 17:21
名前: 黒雲 (ID: bTobmB5Q)

 ビックリんごの木

—天国組、上司:閻魔—

俺たちは、平田の家に着いていた。
「……俺はあの日…よっちゃんを守れなかったんだ……。(平)」
平田は肩を震わせながら言った。
「何かにさらわれたと言いましたよね?……一体誰に?(鬼)」
鬼男君の言葉に俯く平田。
「…ク………の…けし…」
俯いているせいで声が聞き取れない。
「ごめん、何言ってるか聞き取れないんだけど……(太)」
太子が平田に言う。
「…ビックリんごの化身に……さらわれたんだ……。(平)」
「?ビックリんごの化身とは……?(妹)」
妹子が問うと、平田は席を立ち、カーテン開けた。
「……あの丘に見えるのが……ビックリんごの木。ビックリんごって言うのは、人を驚かす事が好きないたずらの好きの木。前までは、ただ近づくと驚かされるだけだった。けど、最近妙に様子がおかしくて……。
いたずらも、悪い事に変わっていき、ビックリんごの木は、人をさらうようにまでなった。ビックリんごの木の化身を使って……。ビックリんごの木の化身は人の形をしていて、自由自在に人になりきれる。だからあんた達の事も俺は疑った。(平)」
平田はまたカーテンを閉める。
「……じゃあその場所に行けばよっちゃん君は……(芭)」
芭蕉さんの意見に平田は首を振る。
「ビックリんごの近くに結界みたいなものが張ってあって、そこから先にはビックリんごの木に選ばれた者達しか入れない。俺は…駄目だったよ……(平)」
「選ばれた者達だけ…ですか……。(曽)」
曽良は目を細める。
「……俺達も試してみる価値はあるんじゃね?(閻)」
俺は思った事を口に出した。
「確かに……試してみる価値はあるかもしれない。(平)」
「じゃあ行こうよ!ね!曽良君(芭)」
「……分かりましたよ……(曽)」
渋々了解する曽良。
「私も行くでオマッ!妹子は?(太)」
「……あなたが行くなら行くしかないでしょ?(妹)」
その返答にニコリと笑う太子。
俺は鬼男君に目で同意を求める。
鬼男君は首を縦に振り、困ったような笑いをした。
「じゃ、決定ってことで!平田ッ!その『木』のところまで俺達の事連れて行ってくれよッ!(閻)」
「分かった。でも今日は止めておこう。日も沈みかけてきた。今日は俺の家でゆっくり休んでくれ。体力も回復しておいた方がいいだろう?(平)」
平田の心遣いに嬉しくなる。
「ありがとう!平田ッ!(閻)」
俺達は、平田の言葉に甘えて一泊させてもらうことにした。