二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【REBORN!】一話完結小説☆((二話up!! ( No.3 )
- 日時: 2010/05/30 20:06
- 名前: 夜琉 ◆nFgGo2zKeY (ID: CUrDDjil)
- 参照: http://d.hatena.ne.jp/my-reborn/
三話 「残酷な運命」——梨瀬琉side——
いつかは来る。
そうは分かっていた。
だって、マフィアってそんなものだから。
戦っていかなくちゃ、生きていられない。
だけど戦えば、目の前に待っているのは?
そう、“生”か“逝”か。
選択肢は、たったの二つ。
目の前には、“逝”を選んだ君が居た。
震えている君の体。どうしようもない私。
「にげ、るん、だ。早く、梨瀬琉」(綱吉)
「駄目だッ! 私はツナの守護者で——」(梨瀬琉)
そう言いかけて、口を塞がれた。
私が言いたかったのは、「ツナの守護者だから」。
そう、私はツナの守護者であるから。
ボスを守るのが、私の指名だから。
だから、ここで逃げるわけにはいかない。
私は今、“逝”を選ぼうとしているのか。
わからない。自分なんてわからない。
「悪いけど、ツナ。逃げるのはあんたの方だ」(梨瀬琉)
「梨瀬、琉? 何言ってるの……?」(綱吉)
あぁ、弱い。
そうとしか良いようがない。
そうだよ。私は弱い。
どうしようもない人間なんだ。
こうやって、戦ってるしか、生きてると実感できない。
「ねぇツナ、今言えることある?」(梨瀬琉)
私は思い切って言った。
本当は、こんなこと言いたくない。
だけど最後になってしまうかもだから、聞く。
怖いけど、仕方ないよ。
「今言える……こと? ……“ありがとう”」(綱吉)
あぁ、“ありがとう”なんてもらっていいのかな?
私は今まで、見栄を張ってきた。
自分に自信がなかったから。
小さい頃に、お母さんから聞いたことがあった。
“見栄を張るのは、弱いことを隠すから”って。
そうなのかもしれない。
信じてなかった言葉だけど、きっと本当なんだ。
「私はね——」(梨瀬琉)
そう言いかけてやめた。
なんか、縁起が悪い気がして。
あーぁ。いつも見え張ってる私。
今はなんか素直で、格好悪い。
いや、自分がそう思ってるだけなのかも。
本当は、今が一番輝いていたりして。
私はまた、ツナに聞いたんだ。
「ねぇ、今の私って輝いてるのか?」(梨瀬琉)
「……輝いてる。そんな梨瀬琉だから、逝かせるわけにはいかない。ボンゴレに必要なんだ」(綱吉)
そう言いながら、私の前に出るツナ。
駄目だよ、ツナ。
好きなのに。もっと好きになっちゃうよ。
本当に駄目ツナだね。噂通り。
もうこの際、言っちゃった方がいいかもね?
私の本性、気持ち。
「なぁ、本当のこと、気持ち、聞きたいか?」(梨瀬琉)
「本当のこと? 気持ち? だって梨瀬琉は梨瀬琉だよ。強くて格好良くて」(綱吉)
不思議に聞くツナ。
ねぇツナ、私そんなに強くないよ?
だって私、猫被ってるだけ。
いつかは言わなくちゃって思ってたけど、辛いね。
「本当は強くなんかない。弱いよ。勝手にクールにして。本当は心で怖がってる」(梨瀬琉)
「で、でも、実際に強いし」(綱吉)
力では……ね?
それは、生まれ持った私の力だから。
才能じゃない。生まれつき。
だから、褒められたって嬉しくない。
むしろ、悲しいよ。
「なぁ、一つ言ってもいいか?」(梨瀬琉)
「な、何?」(綱吉)
ツナが、震えながら私の前に出る。
あぁもう、見え張らなくていいって。
そんなところが、好きなんだよ。
ごめん……な。
「“好き”」(梨瀬琉)
パァァァァァン!!
鈍い音がした。
誰が打たれた? 誰だ? 誰だ?
分からない。
いや、分かったよ。
打たれたのは、“私”だ。
やっぱり、最後まで強くなれなかった。
「梨、瀬琉?」(綱吉)
『遅いから、待ちくたびれちゃった』
クスクスと笑いながら言う、敵。
どーでもいいや。今は。
逝っちゃうんだな。って自覚できた。
視界が、どんどんボヤけてくる。
誰かが、私に駆け寄ってきた。
私は、必死に誰かを確認した。
その人というのが、ツナだった。
愛しい人。愛おしい人。
最後まで、“ありがとう”
「ツナ、ありがとう。それと、サヨナラ」(梨瀬琉)
「死なないでくれよ……、死ぬなよッ!」(綱吉)
そんな言葉なんて、私に届かなかった。
神様、貴方は私に味方してくれなかった。
だから、私は貴方を恨みます。
だけどね、ツナと出会えたこと、感謝します。
一応お礼は言っておく。“ありがとう”。
開くことはなかった、恋の蕾。
開くことのできなかった、恋の花。
味方をしてくれない、運命。
だけど、それが人生ってもんでしょう?
人生はいつか、終わりというものを告げる。
私の背には、羽なんて生えなかった。
“残酷な運命”