二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: リボーン 星からの願い事 ( No.47 )
日時: 2010/04/05 15:36
名前: 蒼井瑞希 ◆AKXdr04juU (ID: 8TaBVFdu)

「ちゃんと説明いたします…あの、でも今からお話しすることは……」
「誰にも言わねぇ。それでいいのか?」
「……はい」
 星羅はうなずいた。
「私…先ほど言ったように、地球の皆さんで言う『宇宙』から来たんです。本当は私の目的と最も関係しているツナ様にはこのことは言ってはならなかったのですが、つい口を滑らせてしまったのでツナ様からそのお記憶を消していたところでした…」
「なるほどな。ところで星羅。お前の目的ってのは何なんだ?ツナが最も関係してるってのも気になる」
「…ツナ様は…覚えていらっしゃらないようですが」
 星羅は、少し寂しそうに微笑んだ。
「私の『星羅』という名前…ツナ様がつけて下さったんです」
「名前を?ツナが?」
「ええ。……私、本当は、ただの小さな星なんです。地球とずっと離れた小さな星…」
「!…信じがたいな」
「はい…でも、あなたなら、信じてくれそうな気がしたから、お話しています」
「…続けてくれ」
「はい、…そんな私をツナ様は見つけてくれたんです。そして、きれいだと言って、名前を付けてくれた…でも、星羅なんて、星に合わないと思いません?ツナ様ったら、きっと女の子だったら可愛いからなんて言って決めたんです」
「どんな考え方だ。ダメツナらしいな。星羅、こいつは勉強や運動に関しては、ただのバカなんだぞ」
「ふふっ…でも、すごく友達思いで、優しい方でしょう?」
 星羅は微笑んだまま、綱吉の髪にふれた。
「こんな私に…優しくしてくれたんだもの」
「…まあ、な」
 リボーンの口角がニッと上がる。
「一応、信じておくとするぞ。で、お前はそのツナに会うためにここに来たのか?」
「いえ…ただ、会うためでなく、ツナ様に恩返しするために、願い事をかなえて差し上げようと思って」
「願い…?」
「星は、お願いをかなえる力があるんですよ」
 星羅は、窓の外を見た。
 家の下で幼い子供が、「風船が飛んで行っちゃった」と泣いている。
「戻ってきてよ〜」
 子供の声。星羅は目をつぶり、祈るように手を組んだ。
 すると。
「わあっ」
 風船がふわふわと戻ってきて、子供の手に収まった。
「お前がやったのか?」
「はい」
 にっこり笑う星羅。
「ほんもんだな」
 リボーンも、驚きを隠せないようだ。
「で、ツナの願いってのは…」
「巨大ロボになりたい!」
「……?」
「巨大ロボになりたい。それが、ツナ様の夢です」
(そういえば昔、小さいころそんなこと言ってたって聞いたかもしれねえな…だが)
「星羅、それはな」
「まだツナ様の心に、その気持ちが残っていれば、その思いを媒体に私がかなえて差し上げられます」
「なら、無理だぞ」
「え?」
「ツナの願いは変わってるからな」
「えぇ?」
 星羅は、少しの間驚いて、それからぽつりと一言。
「地球の人間さんは…すぐ願いが変わるんですね……私は何年もずっと、ツナ様にお会いすることだけが、夢だったのに…」
「!(ニヤリ)」
 リボーンの口が意味ありげに弧を描く。
(星羅…こいつ……)
「よし、わかった。じゃあ、秘密にしておくぞ。あと、お前のことは、俺の知り合いってことにしといてやる」
「ありがとう…えっと…」
「リボーンだ」
「はい、リボーンさん」
 星羅が笑みを浮かべた時
「う〜ん…」
綱吉が、むくりと起き上がった。
「ツナ様」
 星羅が傍による。
「…ん、星羅…?リボーンも…」
「もう夜だぞ、いつまで寝てんだ」
「え?あっホントだ」
 慌てて起き上がる綱吉。
「ところで、星羅って…?」
「俺の知り合いだぞ」
「はあ?だってお前、全然知らない感じだったじゃん」
「度忘れだ度忘れ。悪いな、星羅」
「いえ、大丈夫です」
 星羅も微笑む。
「何か怪しくないか?お前」
 綱吉がリボーンを怪訝そうに見る。
「うるせぇぞ、次言ったら、撃つぞ」
「ひいっ!ごめんなさい!」
 部屋の中で追いかけっこを始める綱吉とリボーン。中学生が赤ん坊に追いかけられて、必死に逃げている光景は実にシュールだ。
(ふふっ。でも、よかったです。リボーンさんがいてくれて)
 いまだ、部屋をぐるぐるしている二人を見て、星羅はくすりと笑った。