二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 大神 皆の願いよ御許に届け −必然−(リレー) ( No.34 )
日時: 2010/04/07 20:02
名前: 幻 (ID: 9MGH2cfM)

しばらくすると、龍の頭のようなものがある丘があった。
ここが龍之丘_______。
昔神龍が棲んでいたと語られる場所。
丘の一番上には小さな祠があって、今でもその神龍を祀っているという。

コウテラスはそのまま丘の上へと登った。
その後を追いかけるものもいた。
イッカンだ。

イッカンは息を切らしながら、

「…ハァ…ハァ…あいつ…足速ッ………。」

と言い、その後を追った。

噂通り、丘の上には小さな祠があった。
一見質素だが、よく見てみると、
祠の中に彫られている龍の彫刻は見事なものだ。
妖気が密集しているようには見えない。

「ちょっとあんた!!」

不意に後ろから声がした。
振り向くと、女の子のコロポっクルがいた。
そのコロポックルは、コウテラスの鼻の上に乗り、
話し出した。

「アレ?あんた大神のアマテラス!?うちの爺と旅したっていう………。」

コウテラスは首を傾げた。
その反応を見て、

「…なわけないわよね……だってあの伝説は何千年も昔の話だもの…。」

と、肩を落とした。
突然辺りが暗くなる。

「なっ…何!?」

夜のような暗闇に、空から青い光が降り注がれてくる。
空が弾けたかと思うと、空に星が浮かんだ。
まるで、何かの形のようだ。

「何アレ…?星座みたいね…、でも星が一個足りない…。」

コロポックルの言うとおり、星が一つ足りない。

「まぁいいや…あんた…名前は…?」

コウテラスは勢いよくワンッと吠えた。

「そう…コウテラスっていうんだ…アマテラスみたいな名前ね…。
私はイッカン、よろしく…。
で、コウテラス、筆しらべは知ってる?」

コウテラスが首を横に振ると、

「筆しらべは…本当の名前じゃないんだけど…大神アマテラスの神の力よ。
それでいろんな事が出来るんだって、
私はまだ習得してないけど…。」

と軽い説明をした。

「あの星座の場合…筆を持って、
欠けているところにチョンと筆をおけば完成だと思うけど…、
あんた…アマテラスに似てるからって…そんな事出来ないわよね…。」

コウテラスは、空を絵のように切り取り、
星座の欠けている部分に筆である尾をおいた。
すると、そらが光り出した。
その光り出した空から、龍が舞い降りてくる。

龍は全身が白く、目の辺りに赤いふちどりをしている。
尾の先の方には、龍の絵が描かれた絵巻物がついていた。

龍は静かに地に降りると、コウテラスを見つめ、
話し出した。

「おお…我らが慈母、
アマテラス大神の子孫、コウテラス大神。
我、御許の父、アマテラス大神に仕えるも、
己の地に還りし今…________、
この蘇神、御許に仕わせ、
失せ物の蘇るを見つがせ給え!」

蘇神はそう言い残し、光の玉となり、
コウテラスに宿った。

「な…!!今のは画龍の力を掌る神サマ、蘇神じゃない!!それに…アマテラスの子孫って……あんた一体…?」

イッカンは不思議そうな目で、コウテラスを見つめた。
一方コウテラスは気にするでもなく、
そよぐ風を受け、その白い毛並みを靡かせていた。