二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ジャンル色々短編〜リクエスト可!最近は戦国BASARA〜 ( No.110 )
日時: 2010/05/22 09:37
名前: るりぃ (ID: qyuIaVem)
参照: http://アフォ小説家?

『ずっと 傍に』中

「政宗様?」
突然立ち止まった俺に小十郎が不思議そうに声を掛けてきた。
「小十郎、今愛姫の声が聞こえなかったか?」
俺がそう言うと小十郎は少し考えてから
「愛姫、様?・・・いえ。」
そう言って首を横に振った。
聞き間違えか?
いや、俺がアイツの声を聞き間違えるわけがねぇ。
確かにアイツの声がした。
俺がそう確信した瞬間
「・・・・まさむねっ!!!」
ほら・・・・
俺の心臓がドクンと大きな音を立てた。
「愛姫っ!」
「政宗・・・」
振り返ったそこに立っていたのはまぎれもない、愛姫だった。
「おかえりなさい。」
「・・・あぁ、今、戻った。」
よっぽど急いで来たのか、息を切らしながら愛姫が笑った。
変わらない笑顔に胸が熱くなっていく。
「猿飛も一緒か?」
俺がそう言うと愛姫は首を横に振って
「ううん、1人。あ、今日政宗が帰ってくることはさっき佐助が教えてくれたんだけどね。」
といって微笑んだ。
「・・・猿飛は来なかったのか?」
俺がそう言うと愛姫は頷きながら
「うん。よろしく言っといてとは言ってたよ。」
といった。俺はその返事にやはり猿飛と愛姫は寄りを戻したんだなと思い、胸が苦しくなったが、俺の口は勝手にこういっていた。
「そうか。・・・上手くやってるか?猿飛とは。」
返事を聞いてはっきりさせてぇと思う俺と、返事を聞きたくねぇと思う俺がいる。
愛姫の口から出てきた言葉は・・・
「うん、幼馴染として、ね。」
「幼馴染として・・・?」
俺はその台詞が信じられなくってもう一度聞いたら愛姫はまっすぐな瞳で答えた。
「そう、幼馴染として。」
愛姫・・・まさか・・・
「お前、まさか猿飛とヨリ戻してねぇのか・・・?」
俺の言葉に愛姫はコクリと頷く。
「うん。」
「なんで・・・」
驚きのあまり声がかすれる。
「コレ。」
「Ah?」
愛姫はカバンの中から1冊の辞書を取り出した。
それは確か・・・
「政宗、私やっぱり政宗が好き。5年経ったけどその気持ちは全然変わらない。」
信じられない愛姫の言葉に呼吸が止まった。
状況についていけない俺に構わず愛姫が言葉を続ける。
雑踏の中にいるはずだが、その迷いのない澄んだ声はものすごくクリアに俺の耳に入ってくる。
「この言葉、本当にありがとう。すごく嬉しかった・・・。
でも、この言葉を読んでわかったの。
私が幸せでいるためには政宗が必要だって・・・。
私、政宗が一緒じゃなきゃ本当に幸せにはなれない!
もし迷惑なら今はっきり言って。政宗が私にこの言葉を送ってくれたように、私も政宗には幸せでいて欲しい。本当に大好きだから、押し付けたくはないの。
政宗の『幸せ』ってどういうこと!?お願い、正直な気持ちを教えて!」
愛姫の真摯な言葉に、俺は目を見開いた。
「正直な、気持ち・・・?俺の、幸せ・・・?」
「うん。立場とか色々あるけど、でもそういうの抜きで教えて欲しい。私は5年間政宗だけを想ってた。私の本気、わかるでしょ?だから政宗も誤魔化したりしないで、本当のことを教えて。」