二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: リクエスト可!戦国BASARA短編集! ( No.147 )
日時: 2010/06/09 18:00
名前: るりぃ (ID: wp9GSg6Z)

肆 冷たい涙と体温に本当だと実感した


冷え切った手と

紅い色

血にぬれた弐槍に

これは本当だと実感した

『涙色の紅』

「幸村様、幸村様。」
某を愛らしく呼ぶ声に、某は頬を緩めた。
「何でござろうか、みちる殿。」
某がそう答えると、みちる殿は嬉しそうに
「幸村様、私、良い人が出来ましたの。」

…今、何と?

「幸村様?どうかなさいましたか?」
不思議そうに首を傾げる彼女に、某は優しく微笑み、答える。
「いや、少し呆けていただけでござるよ。今、何と?」
信じたくない、嘘だと言ってくれ。
そう思っているのに、口からは、別の言葉が流れ出す。
そんな某に、みちる殿はクスクスと笑い

「もう、きちんと聞いていてくださいな、幸村様。
 私、良い人が出来ましたの。
 相手は、幸村様の所のさす…お忍様ですわ。
 幸村様が私を城に招待してくださらねば、出会えなかっ たでしょうね。
 有難うございまする。幸村様。」

嘘だ。
嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ
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ソンナハズハナイ。
 ソンナノハウソダ。
  ミチルドノハ、ソレガシノキヲヒコウトソンナコトヲイッテイル。
   ソウニキマッテイル。

「幸村様?どうかなさいましたか?」
不安そうな目で某をみつめてくるみちる殿。
「何でもござらぬ、きにしないで下され、それにしても良かった。幸せになってくだされ。」
そう言って顔に笑顔の仮面を貼り付ける某。
そんな某に向かってみちる殿は嬉しそうに微笑んで

「はいっ!」

と、元気よく返事した。
…そうか、佐助か…

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「旦那…なんで…」
驚きに目を見開いている佐助に某は冷たく言い放った。
「聞こえなかったのか?これは命令だ

『みちる殿に会うな、近寄るな、口をきくな』

某の命令が聞けないのか?」
某がそう言うと佐助は渋々頷いた。

「…了解いたしました。『幸村様』」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

「最近お忍び様を見かけないんです、幸村様は、ご存知ありませんか?」
不安そうにその瞳を潤ませて某に尋ねるみちる殿。
「某も知らぬな…探してみるでござる。」
某がそう言うと、みちる殿は、パァッと顔を明るくし
「有難うございます!幸村様はおやさしいですね。では、これで…」
と言うと、某に背を向けた。
某はその無防備な背中に二槍を突き刺した。

ザグッ

「か…はっ…」

みちる殿の身体を見る見るうちに染めていく紅。

「ど…して、ゆきむ…さ…ま…」
信じられないと言うように見開かれた目を、某はそっと閉じさせた。
「みちる殿、そなたがいけないのでござるよ?某の思いに気付かず…佐助等に恋慕の情を抱くから…」
某はにやりと笑う。

「この涙色の紅のほうが、みちる殿にはお似合いでござる。」
そう言ってみちる殿の唇に、みちる殿の身体から出る紅を塗りつける。
すると、みちる殿はがばっと起き上がり、某に向かってこういった。

き さ ま に れ ん か の じ ょ う な ど も っ て は い な い

某の思い人は、死に際に、某の魂を持っていった。

ー終幕ー
(紅蓮の鬼はたった一人の女により亡じた)