二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 風皇子と虹乙女【イナズマイレブン】 ( No.94 )
日時: 2010/06/10 17:25
名前: 空紅 ◆.cU92yuIQo (ID: GX8mvGbi)

第十話「キミとの思い出」
〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜*〜

「夢・・・?夢。」

言葉を繰り返す風丸と、立ち尽くすアイリス。

「やめてよ・・・仲良くしてよ・・・。私とお母さんが居なく
 なったって、ずっと一緒だって言ってくれたじゃん!」

夢が振り絞るように叫び、アイリスは言い返した。

「夢に言ったのは確かだ。でも、見捨てられた私の何が
 分かる!!」

そういうと、アイリスは凛乃を見つめた。
凛乃は静かに首を・・・横に振り、話し始めた。

「私も最初は怨んだ。なぜ、どうして。そう思った。
 でも、ジェネシスになって兄さんが苦しむところを見た。
 兄さんは、私達のことを思ってくれている。」

アイリスが、手で顔をおおう。
小さな嗚咽がもれる。

ずっと信じていた、確かな根底が覆されたから。

「なら・・・なら、私はなにをすれば良いの?
 出来ることなんて何も無い。私は無力なのに・・・。」
『そんなことないわよ。』

ふわっ、と誰かが地上に降り立った。

『言ったじゃない。不可能なんて、私の子供にはないのよ。』
「母さん・・・。」

アイリスが顔をあげた。
まわりで見つめていた仲間達が嬉しそうに顔を見合わせる。

『アイリスには仲間が居るわよ。』
「母さん。」
『ほら、泣かないの一郎太。情けないわよ?妹三人にみられちゃ。』

目の淵に涙を溜めていた風丸は、ちょっと笑うと涙をぬぐった。

「そうだね。」
『みんなで仲良くしてね。』
『約束だよ!アイリス姉さん、凛乃姉さん、一郎太兄さん!』

夢がのばした指とアイリスの指がふれ、凛乃の指がふれ、
風丸の指がふれた。

ありがとう。
ありがとう。

声にならない思いを発しながら、夢と亜一凛は薄くなっていく。

三人の家族は、ずっとそれを見つめていた。