二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】紅月夜の晩には蝶が舞う—。 ( No.73 )
日時: 2010/04/10 15:59
名前: Ive (ID: Rl.Tjeyz)

夜、10時頃。

「いないですねィ・・・。」

まだ鬼ごっこは続いていた。

「アイツどこ行きやがった!!逃げたのか!?」

いないのはそれもそのはず。友里亜は今歌舞伎町に帰ってきたばかりだったから。

「よ。」

「あ、土方さんいましたぜィ。」

「確保ォォォォォ!!!!!!!!」

隊士が雄叫びと共に友里亜に近づく。

友里亜は面倒そうに背中に背負っている黒い鎌に手を伸ばした。

隊士が友里亜を囲んだ。と、同時に全員飛ばされた。

「「「「「!?」」」」」

一瞬の動きだった。誰も目で追えない程の。

「もう無駄だよ?・・・まだ?俺疲れたんだけど。」

大きなあくびをしながら鎌を担いだ。

「てかさー・・・。」

「何だ?」

「・・・こんなとこ入っても俺には何のメリットもないんだけど?」

表情が一変して、冷徹で感情の無い物となった。

目には冷めた青白い光が鈍く宿っている。

「・・・。」

土方も言い返せないらしく黙りこんで沈黙が続いた。

「・・・一つありまさァ。」

しかし沖田が沈黙を破った。

「何?」

「アンタに仲間ができるってことでさァ。」

「別にいらないけど。」

「アンタは仲間を作ったことがないだろィ。だからわかんないんじゃねぇのかィ?」

「・・・。」

「だから—「鬼ごっこで決めるって言っただろ。」

そう言ってまた逃げてしまった。

「あーあ・・・捕まえれば良かったのに・・・。土方のアホ。」

雅焔がさりげなく土方の悪口を言ってから走り出した。それに翼と桜も続いた。

「・・・女性は頼もしいですね・・・。」

始めて喋ったであろう山崎が口を開いた。


「友里亜ちゃんー!待って!!」

女3人組は友里亜を追いかけた。

「待ったら意味ないんだけど?」

後ろを向きながら余裕そうに走る。

ふと下を向いたら黒い髪の少女が変な男共に絡まれているのを見つけた。少女が罵倒の言葉を浴びせる度に男達の機嫌は悪くなった。

「んの野郎ォォ!!」

ついに男が少女に手をあげた。手にはナイフ。

ザシュウッ

刺されたのは少女・・・ではなく友里亜だった。少女に怪我が無いのを確認すると、臨戦態勢に入った。
しかし刺された場所が足だったため、上手く動くことが出来なかった。

暗くてよく見えなかったが、なかなか大人数らしい。

「友里亜!!・・・ってえええ!?」

翼が声を上げて、男達は気付いた。

「真選組だ・・・!!ヤベェ、逃げるぞ!!」

隊服を見て、男達は逃げ出した。

「友里亜ちゃん!!」

桜が友里亜に駆け寄る。足からは止めどなく血があふれ出る。

友里亜の視界がぼやける。

「・・・なんでうちを助けたの・・・?」

黒髪の少女の問いに答えることなく倒れた。見知らぬ少女とそれに似た大切な存在の影に重ねながら—。