二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】大江戸戦記〜たとえ世界が違っても〜 ( No.35 )
日時: 2010/04/29 14:33
名前: †槐朱† ◆ZnBI2EKkq. (ID: 3xnkBRQd)
参照: http://www.nicovideo.jp/watch/nm9048573

  序章



麒麟、という動物を知っているだろうか。

その姿は馬よりも華奢で、鹿にも似ていて額に美しい一角の角を持ち、美しいたてがみを、四肢にも同じ体毛を靡かせる、神々しく美しい容姿の神獣。

中国に伝わる、想像上の幸福の生き物とされているがそれは大きな間違い。実はこの生物は実在している。しかし地球上の生物ではない。

地球から遠く離れたある星の一国、それを統べる王の一族の真の姿なのだ。


その星の名は守汕星しゅざんせい。国の名は麟椙りんしょう

中国の周王朝時代のような雰囲気のある、絶対王政の国。その国の美しき第三姫君、斈 桜燐。

今日は彼女の生誕した神聖な日。盛大な宴の準備がこの王族が住まうしろ麗霊宮れいりょうきゅうにて執り行われていた。


その頃の桜燐はというと、自分のへやで大人しく椅子に腰掛けていた。女官に、宴で着る絹衣ふくと冠や簪を持ってくるから待っていろと言われてのだ。


「はぁ……」

ふと、桜燐は溜息をついた。そして虚ろな眼で窓の外に眼をやった。窓から差込む陽の光で輝く翡翠の瞳。その奥に眠る混沌の思い。


彼女は悩んでいた。自分が籠の鳥だという事に。


彼女は悩んでいた。愛しい家族を、民を裏切ろうともする自分の思いに。


彼女は悩んでいた。いつか居なくなってしまった、大罪人の兄に逢いたいという思いに……