二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケスペ†君の傍に†誕絵UP ( No.38 )
日時: 2010/04/26 20:24
名前: 天月 ◆MoYaKs53do (ID: ixDFu4/i)

#09 太陽の背負うモノ

「こんにちは、レッド君にシルバー君
貴方達は初めて会うわね。確か…ユウナちゃんにブルーさん、始めまして」

ゴールドの母がお辞儀すると、ユウナとブルーもお辞儀返した
そして、ソファにはユウナ達5人とゴールドの母が座る



「……あの、どうしてゴールドは居なくなったんですか……?」

ユウナは、控えめにその事を聞いた
正直、ゴールドが居なくなったという事実より、ユウナはその事実の原因を知りたいようだった
ゴールドの母は、一瞬哀しそうな笑みを向け、話し出した


「……ゴールド…あの子はユウト君には大体のことを話していたみたいなの……この話を聞いても、貴方達はゴールドを、仲間として見ていられなかったらそれでも良いわ。無理だったら、あの子のこと、もう忘れて頂戴」

忘れるなんて、無理に決まっている。とはいえなかった
だが、仮にユウナはどんな過去であろうとゴールドは仲間であることに変わりはない
それは、“神”の力を受け継いでいる自分達を受け入れてくれた、そのせめてもの感謝の意でもある


「まず、ゴールドが逃げたのはきっと、あの子の父親にあると思うわ
……あの人は、昔…ゴールドが8歳の頃、私達家族を捨てたのよ」

“捨てたのよ”。その言葉がユウナ達にどれ程残酷に聞こえたか判らなかった
そもそも、捨てた。という事実が信じ難かった


「…それが、あの人は最近になってあの子を必要としだしたの。目的は判らない。だから一層怖くなって……」

目的……残酷なことしか当てはまらない自分を今だけ憎たらしかった
でも、きっとゴールドも同じ考えだったのだろう
…戦闘機械…つまり、人形………
家族を捨てた奴ならやりかねない
そして、抵抗するなら傷つけたって構わないのだろう
それは、かつてユウナが受けた傷と同じかそれ以上
そんなこと、誰にも味あわせたくない、味わうのは自分たった一人で構わない
だとしたら、やるべき事は唯一つ

「お母さん、私はゴールドを探し出して、連れ出します
……私が出来るかは、判らない。でもその背負うモノを減らすことなら出来ます。……私がそうだから
そして、もしその父親に逢ったら……私がどんなになっても止めます」

その瞳は、綺麗に、凛々しく輝いていた。決意に燃えた瞳だった
何時も自分は“護られる”存在だった
だから、次は自分が“護れる”存在になりたかった
闇から引き出せる能力はユウトやレッドの方が得意なのかもしれない
でも、それでも諦めたくなかった
苦しい思いをするのは、哀しい思いをする人はこれ以上増やしたくない
その思いがユウナを動かした

ユウナはソファから立ち上がり、玄関に続くドアに向かった

「ユウナ!?」
「ゴールドを探しに行くの」


そう言い残し、ユウナは家から出て行った

「……一人で行くなっての、バカ
…お母さん、どんな事があろうかと、ゴールドは俺達の仲間です
…大丈夫、ゴールドはきっと見つけ出しますよ。ね?」

ユウトの問いに、3人は頷いた

「ありがとう、皆」


そう言ったゴールドの母の笑顔は今にも泣き出しそうな顔だった


続く