二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: [テニプリ]いろんな愛のカタチ−スキだからだからこそ− ( No.496 )
- 日時: 2010/09/16 18:26
- 名前: 亮 ◆A2rpxnFQ.g (ID: TtH9.zpr)
- 参照: 空を見上げれば、太陽が私たちを照らしていた。
皆で一生懸命、練習して。
皆で一生懸命、準備して。
皆で一生懸命、応援する。
それが、体育祭ってヤツ。
クラス皆で熱くなって、さ。
疲れてるのに、暑いのに、何処からか力が湧いてくるもんじゃん。
そんで、絆は強く強くなって、次の行事も、頑張れるのに。
そんな大事な体育祭に、
“暑い”
たったされだけの理由で、出ないなんて。
私の話、聞いてた??
一生懸命ってヤツは、テニスだけでするもんじゃないよ。
一生懸命ってヤツは、暑さも熱さに変えちゃうんだよ!!
だから、体育祭出て!!
・・・・・・、アンタいないと、つまんないよぅ
「あっつい!!」
大きな声が、グラウンドに響く。
9月の朝の授業。
「何で?!朝ってさ、もっと涼しいよ??普通!!」
「うん」
「これ何、何なの、これ。太陽さん張り切りすぎ!!もっとゆっくりで良いよー!!」
「うん。弥煩い」
叫びは虚しく青空が吸収。
太陽は燦々と、少女たちに照りつける。
弥と呼ばれた少女は、「だってー」と頬を膨らませて見せた。
何故そんな暑い日に、わざわざグラウンドに体操服で出ているかというと———
「練習だし、しょうがないだろィ。体育祭、優勝狙ってんだし」
赤い髪の少年が、弥の方に肘を置いて言う。
「ブン太!! そうだよ、優勝狙ってるよー」
ブン太と呼ばれた少年は呆れたようにため息を付いた。
「だったら・・・・・・、暑いとか言ってる場合じゃないだろィ」
「テニス部は良いねー、体力有ってさ」
「そりゃ、炎天下の練習は基本だしな」
弥はその言葉を聞いて、1つ、疑問符が浮かぶ。
「だったらさぁ、なんで、アイツは此処にいないの」
白に近い銀色の、綺麗な髪。
青っぽく済んだ瞳に、華奢な白い肌。
とてもそうは見えないが、実は強豪立海大テニス部レギュラーのその男は、1度もクラス練習に顔を出していない。
「しょーがねぇだろ、アイツ熱いの駄目だし」
「しょーがなくない、絶対」
ブン太は、小さくため息。
「それなら、探しに行けばいいだろィ?? ・・・・・・1番、涼しい場所にいるだろーからな」
——————
結局、何処を捜してもいなかった。
涼しい場所、なんて此の暑い中、在るはずがない。
何処だって、同じくらい暑いのだから。
そんなこんなで———、1日1日と、体育祭は近づいてくる。
「あぁー!! 今日もいないよ?!」
差樽の叫び声は、今日も青空が吸収する。
太陽がキラキラ眩しい、快晴。
完璧な、体育祭日和。
それなのに。
例の男は、何処にもいない。
「あーあぁ。まっしょーがねぇだろ」
ブン太は相変わらず、しょーがねぇ、で通す。
そうこうしているウチに、開会式が終わり、競技が始まる。
「丸井くん!!頑張れー!!」
「お前得意種目だろー」「パン食いだけだろ、」
「丸井くんは、走るのも速いよ!!」
「ジャッカルに負けんなーっ」
パン食い競争に出ているブン太は、女子の黄色い声や男子の冷やかしに、軽く手を振る。
その度、黄色い声は一層大きくなった。
「転けるぜー、ジャッカルが」
「俺かよ?!」
お決まりの台詞も出て、D2対決は白熱する。
それと同時に、クラスの盛り上がりも。
そんな雰囲気にいまいち乗り切れなくて、一抹の寂しさを感じているのが———
弥だ。
——アイツいないのに、賑やかになんかさぁ、出来ないっての。
——あれ、これじゃ、まるで、
——まるで、まるでさ、
「涼しい場所、何処」
応援席に帰ってきたブン太に、弥は鋭い口調で尋ねる。
「あ?」
ブン太は、きょとん、とする。
「だから、涼しい場所って何処??」
キミがいなきゃ、つまんないよ・・・・・・??
——————
“部室裏。あそこが、今なら1番涼しい”
その言葉の通り、彼はそこで猫のように眠っていた。
「・・・・・・、仁王」
名前を呟くと、ゆっくりと瞼を開けた。
「なんじゃ、・・・・・・弥か」
ニヤリ、と口角を上げる。
「何、私じゃ悪い??」
「誰もそんなこと言っとらん。 お前さんも、サボりか??」
「そう言うワケじゃ、ないけどさ、その」
弥の言い訳を遮り、仁王は言った。
「俺がおらんと、寂しいか」
————————————アンタがいないと、つまんないよ。
これは、寂しいって、こと、なのかな。
「え、そ、そんなんじゃ、ないし、ただちょっと、涼みに、来ただけって言うか、そのぉ・・・・・・」
ブン太の言うとおり、此処は少しだけ涼しかった。
あの証拠に、汗がみるみる引いていく。
ちょっとだけ冷たい風が、吹き抜ける。
「ほぉ、」
仁王は、一層意地悪そうに微笑んでいた。
「何、よ」
「そうかそうか、寂しかったか」
「だから違っ」
仁王はグッと、弥の腕を掴み、自分の腕の中に引き寄せた。
弥はもう、何も言えない。
「つっくいたら、暑いじゃん・・・・・・」
仁王はそれでも、離さなかった。
「此処は涼しいぜよ。少々平気じゃき」
心臓の音が、伝わる。
お互い、リレーで全力を出したときよりもずっとずっと————————
鼓動が早かった。
「煩いよ、仁王」
「黙っとるぜよ、何処がじゃ」
「心臓、うるさい・・・・・・」
小さく呟く弥。
「素直じゃないぜよ、」
キミがいないと、つまらない。
此処へ、俺を迎えに来てくれてありがとう。
「今からでも、応援席来てよ!!・・・・・・ってか、仁王も出るんだからね??」
「何に、」
「えっと、二人三脚」
「男同士でやってものぅ・・・・・・ 弥となら、出てやってもいいぜよ」
「?!」
ほら、体育祭は、皆を熱くさせるね。