二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 涼宮ハルヒの願望<復活初仕事> ( No.1 )
- 日時: 2010/04/19 21:30
- 名前: みやっさん ◆E53IZBWzfE (ID: YYcYgE9A)
- 参照: 間欠、簡潔、完結に!3K!!!
プロローグ
三月半ば。
北高では三年の卒業式が終わり卒業生は我が母校から旅立っていった。
通学中見たことあるような陸上部員が新聞配達をしていたり、
学校でも有名な野球部の部長が親父の職を継いでいたり、はたまた明るいキャンパスライフを送るべく大学に行く準備の最中の奴もいた。
様々な連中を見通して俺もあの立場にいたら何をしようか考えていた。
大学に入学し、別の連中と取っ組み合いしたりバカしたりすんのか? はたまた職についてなれないパソコンにかじりついて給料もらう日々なのか?
そんなもん、まだ分からねえに決まってるじゃないか。
まだ一年もあと半月じゃないか。
卒業すんのにまだ指折りでも数えられん。あわてることはねえ、か。
でも、一番平和に過ごしたいなら、
「大学も奴は変なサークルでも作るつもりか?」
奴、そう。涼宮ハルヒだ。
あいつの大学進路なんざ知ったこちゃねぇ、しかし気がかりなのは大学に行っても変なもん作って変な恰好で勧誘したりすることだ。
俺がもし一番平和に過ごしたいと考えるなら真っ先にハルヒと違う大学に進む、ああそうだ。
ちなみにこうして考えている時間、今は六時限目であった。
教師の口頭の教訓が含んでるが。俺はそれをマジ無視。右の耳の穴から左に受け流すようなもんだ。
「………」
俺の後ろの席で寝息を立てているこいつが羨ましい……、じゃなくて忌々しい。
にしてはあの教師、口ばっか動かして寝てる生徒も見つけられねーのか? 頼むからこの後ろにいる女を引っぺがしてここの窓から放り投げてやれ、
それでも俺の学習率なんざあがらねぇけどな。
さて、今日の学業を成し終えて普通の俺だったら普通に帰ってるとこだったしかし、放課後のチャイムが鳴ったと同時に奴の魔の手が俺のネクタイを引っつかみ前へ前へと引っ張る。
「キョン、急ぐわよ!」
つまり、こいつが俺の普通の生活を奪った女。涼宮ハルヒである。
「っ、放せ! ハルヒ! そんな慌てる事なのか!?」
「ええ、急ぐわよ。この世の楽しい道に突き進む術はとにかくその地まで急ぐことなの!!」
俺はよっぽどの事で豹変しなければ逃げねえしちゃんと行けるんだから、とっとと放せ。
もちろん無視。
自分の銘を遂げなきゃ誰の耳も貸さない女なのである。
学校の旧館にたたずむ部室まで俺のネクタイをずっと引っ張りやがった。
文芸部部室前。
ドーンといきなりドアの前で押されまるでゴミ置き場に身を捨てられかつ上げさせられるヤクザのようだった。
「問一!」
部室前に着いたその直後俺に問題をぶつける。
「あたし達、SOS団に足りないものそれは何でしょう?」
ネクタイをまだつかんだままで目の前にはすぐにハルヒの瞳の中がユラユラ動いているのが分かるくらいだ。
ハルヒはその瞳の中に動くオリオン大星軍のように煌めかせ、殺し屋のような笑みを浮かべる。
足りないもの? いっぱいあるだろ。お前の脳機能を復元させるためのネジやら、ここの存在意義を訴える証拠みたいな奴とか、……強いて言えば、
「常しき……ブッ!?」
俺の答えを聞いた瞬間何かが出そうなくらいの勢いで俺の腹にモンゴリアンチョップを繰り出した。
「——っ、ホントじゃねえかよ」
「バカキョン、常識なんて腐るほどあるわ!!」
証明してほしいな。
「そんなめんどくさいこといいじゃない! あんたの脳機能のネジこそ足りないわよ!!」
ほざくな、お前よりは一級品だ。
「あたし達に足りないもの、それは——、」
それは? もしやいつぞやの宇宙人未来人、超能力者とかではぐらかす気か?
「……当たりよ。何よ、分かってるじゃない。キョン」
やはりか。こいつはアホだ。
「SOS団を結成して早一年! それなのに宇宙人の尻尾だって見当たんないし、未来人の時の羅針盤だって、超能力者の曲がりきった鋼のスプーンすら見つかんないの! どういうこと!?」
俺に当たるな。
「何がUMA探索機関よ。それならあたし達を火星に派遣してくれればいいのに! あたし達の手で見つけるの!!」
相も変わらず何も変わんない分かりやすい奴だ。
しかしそんなふざけたことをさも真面目に答えるな。
明日の地球にすべての色どりが付けられたらどうする。
「必要な人材も取りそろえたのに」
長門以外は半拉致だろ、俺だって初めて女に胸倉つかまれてカツアゲされたこのざまだぜ。
と、こんな感じでこの横暴なハルヒに振り回される毎日なのだが……。こうも度が過ぎた発言はいちいち
慣れないね。? 何故って。俺もあまり語りたくないがな。
涼宮ハルヒ、願望を実現する人間。
長門はこう言った「自立進化の可能性」
朝比奈さんはこう言った「時間の歪み」
古泉はこう言った「神」、と
それぞれが、ハルヒのもちキャラ? を発言してから
一年。これまた平和に何も起こんないさ。
だが今こうして、ハルヒの頭蓋にある常識がどんどん
掻き回されてくんだよな。
「やれやれ……」
やけに序章が長いが、これから起こる。
チープな涼宮ハルヒの願望が起こる事を——。
俺はまだ、知らなかった。