二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 涼宮ハルヒの願望<復活初仕事> ( No.17 )
日時: 2010/04/27 22:01
名前: みやっさん ◆E53IZBWzfE (ID: bSF/F1B1)

第六話

「…………」
ハルヒのSOS団改革宣言の後、辺りはとても沈黙に包まれている。
ある意味、こんなSOS団は初めてだ。
ハルヒは団長机に座り、ネットサーフィンの毎日。長門は原文も分からないような厚本を静かに読み、俺は古泉と、ゲームをやって、そこに朝比奈さんのお茶を有難く頂戴し。ある意味周りからは「意味分からん」
なんて思われがちだが、これが存在意義でもあって、
この毎日がある意味良かった。

と、そんなシビアな空気ムンムンな地に足を入れる天使がやってきた。
「キョン君、お茶です」
朝比奈さんである。この空気にもお茶を配る姿は正に
ご利益がある。ああ、ありがたや、ありがたや。
朝比奈さんは俺の耳元でボソッと、
「信じましょう。まだ希望はあるはずです」
「未来で分かるんですか?」
「……そういうのは、禁則です」
「……そうですか」
「すいません。私もわからないんです。でも、涼宮さんは絶対元に戻ると思います。信じましょう!!」
と、可愛くガッツポーズ。
「朝比奈さん……」
と、朝比奈さんはトコトコ歩きでハルヒの方へ向かった。
「涼宮さん。お茶です」
「ありがとう。みくるちゃん」
ハルヒの声のトーンも、笑い方も何もかも違っていた。
あの、鼓膜がはち切れそうなくらいな涼しい、声。
炎天下に咲く向日葵のような。輝く、笑顔。
今のハルヒにはそんなの微塵も無かった。
「今日のお茶、なんか違うね。美味しいわよ」
「あ……ありがとうございます」
朝比奈さんはいつもと違うハルヒの出す感想に照れ笑いを浮かべる。
そんなハルヒじゃないハルヒの浮かばせる顔はまるで——。

「クラスに一人か二人はいる大人しそうな女性になりましたね、涼宮さん」
と、古泉は俺が言おうとした(ってか思った)事を
発言した。
「最初はハルヒもあんな感じな女になってみろ——、
なんて思ったが、やっぱ急にあんなんなると、気持ち悪いぜ」

「ふっ、そうですね」
古泉は朝比奈さんが入れたお茶をすする。
「……気にいらねぇな、この日常は」
「おや」
「俺は、傍若無人で、無理やりで、俺の話を聞かないで、いつも皆を巻き込み、そこで俺が重要視され、長門が後始末を行い、朝比奈さんは泣きながら俺にすがる、そんなチープで、そんな非日常的で、」
気が付いてたら俺はいろいろと語っていた。古泉は、
飽きずに耳を傾け、なぜか微笑みながら、聞いている
「あなたも、涼宮さんも共通する心を持ってますね」
「え?」
「ほら、現にSOS団にいてああだった、涼宮さんがああだったからこうなった、だから、朝比奈さんも
長門さんも僕も巻き込まれる……。ちゃんとSOS団の
団員であるからこそ言える感想じゃあありませか? ……すいません。「ああ」や「こう」ってのは会話ではあまりそぐわないですね。つまり、あなたも潜在力と観察力は磨けたのでは? ないでしょうか、」

どうやら、変わってたのは俺も同じだった。
多分入団初め位の俺なら、原稿用紙一枚分もいかない
ような感想を述べてただろう。
あいつは変だとか、俺はまた重要視されるのか……?
などと、半ば消極的(今も)だが、今の俺なら、この
一年俺の身に降りかかった、非現実の出来事は、
多分本にできるだろう、ましてや今も、俺はこんなに
ハルヒの事を話してるじゃないか? 長門や朝比奈さん、古泉とか……。
——俺の周りの面白かったことを、今、人に話せてる事が——

「へっ、俺も成長したもんだ……。上出来だ」
俺と古泉で会話してる間ハルヒは帰ってしまったようだ。
俺と、長門と、朝比奈さんと、古泉。好都合だ——。
「長門」
俺は長門に話しかける、長門は自分が呼ばれるのを推測したかの如くすばやく顔を上げた。
「俺も、やる事はやる。長門、朝比奈さん、そして古泉」

「ハルヒを元に戻そう、そして、もう一回、元の世界に……!」