二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ポケモン不思議のダンジョン「虹色の守護者達」 ( No.25 )
日時: 2010/05/08 15:35
名前: みやっさん ◆E53IZBWzfE (ID: 5ITqb3s4)
参照: 間欠、簡潔、完結に!3K!!!

04.きこえる<後編>

「痛い〜骨折れた〜」
緑色の体をぐにぐにと動かし、訴えた。
(えー、俺に言ってんの?)
ピカチュウは、「あのー、」と声をかける。
するとキャタピーは、「ひいっ」と力の抜けた声を出し、体を横に倒し、移動した。
「いやぁぁぁ! 食べられちゃうぅぅぅ!」
彼は必死に逃げながら、叫んでいるっぽいが、実際はわずか数十センチしか動いてなく、声も小さかった。
しかし彼の泣きっ面の形相からわかるくらい、必死なのである。
「大丈夫。食べませんよ……」
ピカチュウは溜息交じりに言った。
すると、ピタッとキャタピーは動きを止めた。
「本当に?」と、キャタピー。
「本当ですよ……」
ピカチュウは早くこのくだりから抜けたい一心で言った。

「いや〜、びっくりしましたよ。巷ではボススピアーがこの森を支配して、僕たち一ポケモンじゃビクともしませんよ! んで、『虹の守護者』様がよぉーやく来てくれてねぇ!」
安心と思ったらコレか。ピカチュウは苦笑いを浮かべた。
すると、気になるものが一つ、とキャタピーに言った。
「『虹の守護者』とは?」
キャタピーは目を白くした。絶句していた。
「えっ〜!? 知らないんですか!? でもこの“国”にいれば知っているのにな。もしかして、あなたは、どっかの流れ者ですか?」
「えぇ……まぁ」
と、ピカチュウは簡単に流した。
ただでさえ、さっきから分からないことばかりが脳に叩き込まれ、頭がおかしくなりそうだ。ここは、あえてすべての知識を処理するのではなく、一つ一つのワードを処理する。というピカチュウの考えだ。
「仕方がありませんねぇ……、『虹の守護者候補』とは……」
と、キャタピーは身振り手振りの説明を始めた。
何だかすごいデジャヴ……と、思ったのはたぶん間違いだろう。

「……つまり、とてもすごいポケモンたちの集団です。一ポケモンじゃ迂闊に近寄れない、とてもすごい所なんですよね〜、諸説では、守護者になれば、願いがなんでも叶ったりと、もうほんとにすごいんですよね〜」
「そうですね……」
「今もきっと、ボススピアーを討伐するために戦っているんですよね」
「そうですね……、」
半分聞き流したが、今のキャタピーの言葉は、しっかりとピカチュウの耳に響いた。
すると、すぐに思考はあるポケモンの発言に巡られた。
——まったく、仕事があんのに、
——“ここは危険だからね、早く逃げたほうがいいわよ”。あと……死なないでね。
(——ッ! アイツ——!)
ピカチュウの足の向きは完全に変わっていた。
チコリータのところへ“向かおうとしていたのだ”。
「キャタピーさん、でしたね」
「あー? はい」
「ここは、もう逃げないと、駄目ですよね?」
「! あわわわわわ! そうだった……、」
急いでキャタピーは木によじ登った。
「話、ありがとうございます。俺は先へ隠れます!」
「はーい! 気をつけてねー」
力強く頷いた。向かう場所へ、チコリータの元へ。
(俺は、おかしくなったのかもしれない)
自分の正体を知らずにいるのに他のポケモンの事まで気にかけている自分。
足は“逃げる”示しではない、危険も承知で全速力で走っている。
(アイツは、アイツはどこだ!?)
さっきいよりだいぶ木々の色が濃くなっていた。
(まだいないのか!?)
その瞬間——、

ド————ンッ!!

爆発音がすぐ近くに聞こえた。
「————!」
地面は揺れ、木も、葉も揺れた。
西に百歩、悲劇を見た。
「ああ!」
彼女——チコリータがやられている。
相手は、スピアー。
かなり、巨体な体のスピアーであった。

チコリータがやられている。
先程まで、思いっきり前足で蹴られ、罵声を浴び、勢い良く去ってしまった……チコリータだ。
決定的な証拠は煌めく赤い目と、力強く踏む——前足。
そんなチコリータがやられている。
「……!」
すぐさま駆けつけようと思ったが、木陰に隠れ、様子をうかがう。
「ハァ——、ハァ——、」
荒い息を吐くチコリータ。その顔には苦痛が表れていた。
「おやァァ? 『虹の守護者候補』様がまさかこんなザコだったとは、ギルドもおしまいだ」
と、呆れ顔で嘲笑する巨大なスピアーがいた。
(奴が、ボススピアー)
確かに大きい。
地にいるチコリータと宙に浮くスピアー。対照してもわかる。
(アイツはデカブツと戦っていたのか……)
ピカチュウは陰で見ながら生唾を飲んだ。
「ギルドを……馬鹿に……すんなっ!!」
よろけながら、チコリータは立ち上がった。
「まだやる気かァ! 面白れえ!!」
そう言ってるスピアーは構えず、そして地面に着いた。
「舐めんな!!」
チコリータは高く飛び、頭にゆらゆら動く葉を思いっきり振った。
そこから細かい葉が舞い、カッターのように鋭くなった。
「それは、こっちの台詞だァ!」
スピアーは両の手に付いている太い針で葉をはじいた。
失速した葉はしおれてしまった。
「うぁぁぁ!!」
その隙を見て、チコリータは体全身でスピアーに攻撃を繰り出す。
(馬鹿! 捨て技だ!!)
ピカチュウも直感でその技の意味を知った。
「チッ、」
スピアーは舌を打った。そして、全身ごと、針で弾き飛ばした。
「がはっ、」
飛ばされたチコリータは激痛に変わった痛みに苦しい顔で地に這いつくばった。
「もう終わりかァ?」
地に付いたまま、チコリータ近づいた。
(くそ、もう……ガマン、できない!!)
スピアーは太い針を思いっきりあげた。
「お前の死に画らと一緒にギルド壊してやるよ」
それが、振り下がった。
「おおおおおおおお!!」
刹那、ピカチュウは体で、スピアーを“止めた”