二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: ポケモン不思議のダンジョン「虹色の守護者達」 ( No.49 )
- 日時: 2010/08/29 16:20
- 名前: みやっさん ◆E53IZBWzfE (ID: UccMOYif)
進歩のアテ<後編>
「あっ……、さっきのキャタピーさん!?」
「おや……先刻はどうもでした! ピカチュウさん!」
「え……知り合い?」チコリータは疑問を浮かべながら言う。
「まあ、偶然知り合った、という間柄ですよ〜。それより僕がといたいのは。ここで大きな光があふれたのを発見しまして、」
と、キャタピーは饒舌に口を動かす。
「と、僕のほかにも、野次馬はたくさんいるんですよ?」
言うと、キャタピーの後ろからゾロゾロ色んなポケモンが現れた。
「みなさん、ずっとスピアーが森を支配するのにおびえてしまい……ずっと静かに過ごしてたんですが、さすが、『虹の守護者候補』様々です!!」
巧みに褒めるキャたピーを後ろにさまざまなポケモンが礼を言う。
「ありがとうございます」
「本当に助かりました」
「これからは自由に生活できますー」
といった安堵の感想を言うポケモンたちがいた。
「あの……私は、はっきり言って、なにもしてないです……。討伐に、逆にあたしがやられて……今隣にいるピカチュウがが、あの光を生み出して、スピアーを討伐できたんです。彼の力無くてはできませんでした……」
「チコリータ……違う、お前の方が……、」
ピカチュウが言おうとしたのを、キャタピー達のお礼の声で消されてしまった。
「……、」
あふれる温かい声、
みんなの笑顔。
これが……『虹の守護者候補』なのか……?
と、ピカチュウは不思議に、その光景を見つめた。
(そうか……これが……)
ピカチュウはある核心についた。
いまだに思い出せない前の記憶。しかし、はっきり覚えている言葉。今、それがピカチュウの言葉を反響させたのだ。
「よかったら、これをどうぞ」
キャタピー、他の面々から多くの木の実をもらった。
「ほんの少しのお礼ですが、よかったら受け取ってください」
「そんな……! 十分ですよ。本当に、あたしも、ここまで礼を言ってくださり、すっごい感謝したいです! ありがとうございます!」
するとキャタピーが、
「いやーピカチュウさん、やりますねえー。こうしてみると、あなた達で本物の『虹の守護者』様みたいですよー」
「そ……そうですか?」
チコリータとピカチュウはそろって頬を赤くした。
「ええ……! 絶対そうですよ! あ、では僕たちはここで失礼させてもらいます。本当にありがとうございました!」
そしてしばらくして、キャタピー達は各々住んでいたところへと帰っていったのである。
空は茜色の夕焼けに染まり、静かに日は沈もうとした。
二匹は貰った木の実を一つ食べ、森から抜けようとした。
「なあ、チコリータ」
「……なに?」
「俺、よく考えたら、アテがないんだちよな……。それでさっき見たいに混乱してさ、バカみたいだよな。でも……ああいう、ポケモンたちをみて、俺は考えた」
わざとっぽい間を空けて。ピカチュウは笑いながら、
「俺……『虹の守護者候補』になる! そして人間のころ言った「守る」事を全うする……今の俺の進歩のアテだと思うんだ!!
後悔の色もない、この先の未来を受け入れるようなピカチュウの瞳に、チコリータは思った。
(なんだ……考えてる事は一緒じゃない)
チコリータも、罪滅ぼしという訳じゃないが、お互いがひたむきに進歩できる方法として、一緒に同じ肩書として頑張ろうと、誘おうとした。
しかし、ピカチュウはもう分かっていた。
そして、チコリータは迷いもなく、ピカチュウの目に答え、笑い、チコリータは赤い目をきらめかせて、
冗談交じりにこう言った。
「そんなの……“当たり前じゃないの”?」
「……へ?」
チコリータの答えの受け入れ方に
ピカチュウは少々疑問を感じた。
「普通さ……アテもない流れだったら、言う言葉じゃない! でも……アンタがよっぽどダメな奴だったら、もう一緒についていく訳ないじゃない!」
遠まわしなチコリータの答え方に、ピカチュウは思わず笑ってしまった。
「ははは……んで、俺はダメなのかい?」
「いや……アンタは……合格だよ!! ってか、そんな事言わなくてもあたしが言おうと、−−んっんー」
「?」
わざとらしい咳払いをするチコリータだが、ピカチュウはさほど気にならなかったようだ。
「よーっし! 今からギルドに行くわよ!!」
木の実のおかげで疲れが飛んだチコリータは駆け足で森を抜けようとした。
「お、っちょ、足は!?」
ひっぱられながらついていくピカチュウ。
沈む太陽は波乱を閉ざすかのように、
そして、新たな波乱をつきと共に迎える事になった