二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: ◇ヘタレ極彩色◇  【ヘタリア】 ( No.2 )
日時: 2010/04/23 21:29
名前: 柏木その ◆NrQDiBQfmg (ID: ZYR2ZLjZ)

【おとまりぱーてぃー Ⅰ】



「どうして………」

日本は目の前の光景を見て、ネクタイを緩めていた態勢のまま固まった。
そしてその地獄絵図に絶句した。


「お二人ともここに居るんですか……!」

呆れたような泣きたいような表情で眼前の二人を見つめる。


「わざわざ遊びに来てやったある!」

「感謝の意を込めてずずいと茶菓子を出してくれて構わないんだぜ!」

会議を終わらせて帰宅。
やっとゆっくりできると、自分の家の扉を開いて。
玄関先で待ち受けていたのは、中国に韓国。

…何て嫌な組み合わせだろう、と日本は内心で盛大な溜息を漏らす。


「…お二人とも、どうやって人の家に不法侵入したんですか」

呆れを通り越して、もはや感服の思いが混じった声色で日本が口を開いた。


「不法侵入とは心外ある。家の前の植木鉢の下にあった鍵を使っただけあるよ。」

「それは不法侵入以外の何物でもありませんよ。
 っていうか勝手に人んちの前の植木鉢いじんないで下さい!」

「ぶははっ!この日本の目半開きなんだぜー!」

「あああ韓国さんは何をっ…!
 勝手に人の卒業アルバム持ち出さないで下さい!帰って下さい!」


全く、勝手に座布団持ち出してるは、本棚漁るは、まだ自分すらも読んでいないジャンプを勝手に読んでるは、
二人とも我が家だといわんばかりのくつろぎっぷりだ。



————どうして、いつもこういう時に限って。

日本は軽く苛立ちを覚えた。


思えばいつもそうだ。

彼等は私が疲れてたりする時に限って、狙い済ましたようにやってきて。

引っ掻き回して帰っていく。




頼むから、

八つ当たりをしてしまう前に、

早く帰って下さい。




そんな思いとは裏腹に、「まぁ入るある」と中国が奥の部屋を勧めた。
長いする気満々らしい。

というかまずここ、うちなんですけど。

軽い殺意すら覚えた。


◆◇◆◇◆◇◆◇


「……で、今日は一体何のご用件ですか?」

いつもより少し冷たい日本の口調を意に介した様子もなく、


「お泊りぱーてぃーある」

「お泊りぱーてぃーだぜ」

二人は綺麗なユニゾンで言った。

ぱーてぃー、英語で発音しろとは言わないが、せめてカタカナで発音しろ。

まだ辛うじて笑顔を作っているものの、ひくっ、と日本の口元が引き攣った。


「……どうして急にそんな、」

「暇だったある」

「暇だったんだぜ」

日本の抗議を途中で遮り、またしても綺麗なハモりが返ってきた。

中国はパンダを、韓国はジャンプを抱えて畳の上でごろごろと寝転んでいる。


「…あの、私今日疲れてるんですが…」

「我は疲れてないから気にすんなある」

「……また明日来てもらえませんか?」

「嫌なんだぜ。まだジャンプ読み終わってないんだぜ」

日本の頭の中から、ぷつーん、と漫画でしか有り得ないような音がした。


「————もういい加減にしてください!」


それは『周りの空気を読み発言を慎む事』が趣味と豪語している
普段の日本には似つかわしくない大きな声で。


「————少しは、相手の都合や気持ちを考えるようにして下さい!いつもいつもいつもいつもっ、お二人とも強引すぎます!」

早口にまくし立てると日本は、力強く襖を閉めばたばたと廊下を逆走していった。

残されたのは、キョトンとした表情の二人。