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〔第一話〕バスとか新幹線で寝た人は大体注目の的

「…寝てる」
「もう寝たの!?　」

さっきまで一番はしゃいでた琴音は、席についてすぐに眠ってしまった。子供かよ!?

ちなみに新幹線はまだ動いていないので、琴音のまわりには人だかりが…。

「ん…」
黒い髪が顔にかかる。そして小さく口が開いた。

「琴姉、なんか美しいよね…」

琴音はなかなかの美人であって、男子・女子ともに人気が高い。

雰囲気が「可愛い」という感じでなく、黒く長い髪に、大人っぽい顔立ちが本当に「美人」と言う感じがする。
生徒たちにとってはその琴音の寝顔は見ておかねば、という具合なのである。

「さっきギャーギャー言ってたけど、こーなってこそ琴姉！　」
「こーなってこそって…寝てるだけじゃん…」

まわりの女子が言う。
「琴姉」というのは琴音のあだ名で、容姿や性格がなんとなくお姉さんっぽいからついたらしい。

性格は、本当にお姉さんっぽいかどうかはわからないが…。

「はーい、じゃあ全員乗れたみたいだから、出発するよ!!　」

「はーい！　」
先生がそう言ったあとに、ぞろぞろと皆が各々の席へ着く。



このとき、実は琴音は起きてたり…しないか。