二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 〔戦国BSR〕修学旅行に戦国時代!! ( No.64 )
- 日時: 2010/06/13 11:14
- 名前: 愛姫 (ID: efp5OJCb)
〔第十六話〕旦那が2人いるようだよ
「すっごーい、いろんなお店があるー!! 」
「うん、特に今日は人が多く賑やかでござる」
真田主従と城下町にやってきた琴音。
とても賑やかで、今の原宿のよう。ちゃんと着いていかないと、すぐに2人とはぐれてしまいそうだ。
そう思い、幸村の服の袖をつかんで隣を歩いていたのだが——
「こっ、琴音殿!! そ、そんなに寄り添って歩くなど!! 人がたくさんいるでござろう!! 」
袖を掴むだけではだんだん手が下がってくる。
なので、内側の袖を掴んでいたら、いつのまにか軽く腕を組んでいる状態になっていたのだ。
「え、いいじゃーん。寄り添っているうちに入らないし? 」
「入りまする!! 離れるでござる!! 」
袖から琴音の手を離す幸村。耳まで真っ赤で、その様子が可愛い。
「もう…じゃ、佐助とくっついてよっかな」
「ん? ああ、迷子にならなくていいもんね」
「それも破廉恥でござるあ!! 」
——そんなやりとりをしているうちに、幸村お気に入りの甘味処に到着。
ここなんだあ、とか思っていると、紺色ののれんから黒髪をきっちりとまとめた美人さんな店員が登場。
「いらっしゃいま…あ、幸村さんに佐助さんじゃない! ご無沙汰しておりました」
「お久しぶり。どう、お夏さんとこは繁盛してる? 」
「うふふ、おかげ様で。さ、あがって下さいませ」
大人っぽい笑顔で、そう言った彼女は「なつ」と言うらしい。
「お、お夏殿、某はいつもので…」
幸村が小さい声で照れながら言う。「いつもの」で通じるほど常連客なのだろう。
「あなたは? 」
「へっ、あたし? 」
お夏にそう言われ、少し戸惑う。
何か食べるといっても、琴音はお金を持っていなかったのだ。
「いいよいいよ、おごったげるから」
「遠慮は無用でござ…」
「旦那はもうちょっと遠慮くださいいやマジで」
お品書きを眺めるが、字がつながっていてわかりづらい。カンで読み解いて、好きなものを選んだ。
「うーん…佐助、『みたらし団子』と『蜜汁粉』と『大福《白餡・こし餡》』と『三色団子』どれがいいかなあ」
「えー、俺様は一番安いのだといいけど」
「うーん、やっぱり絞れないので全部お願いします」
「かしこまりました〜」
「え、何を頼んだのか教えて!! 」
財布の中を確認しながら言った佐助の言葉は、琴音には届いていなかった。
それどころか、「大福は2種類どっちもお願いしまーす」とか言っている。
お菓子を持ってきてくれた女の人たちは、みんな汗をかいていた。