二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 唄魂!-utatama- 【銀魂】 ( No.23 )
- 日時: 2010/07/21 14:48
- 名前: 柏木その ◆NrQDiBQfmg (ID: ZYR2ZLjZ)
第四訓*『人魚って食べれるの?』
「……で、とりあえず、君はお客さんなんだよね?」
隣でOrzになっている銀時の事は軽くスルーして、新八が少女に問いかけた。
「あ、はい。今回ご依頼したいのは貴方達に探し物を手伝って欲しくてですね」
きょるんと涙のカケラも微塵も見せず振り返った少女。
新八はあえてツッコミを放棄した。職務怠慢である。
「で、探し物って?」
「はい、えぇと、私の種族に代々伝わる貝殻があるんですけど
————それ婚約に使う大事な品なんですけど」
「おいおい、そういう甘酸っぱい話はよそでやれよな。
この世に人の恋バナほど聞いてて不愉快な事はねぇよ?」
「そうアル。夏休み前とかクリスマスのイベント前に急いで取り繕ったカップルなんて長続きしないネ」
吐き捨てた銀時に神楽も便乗する。
や、神楽ちゃんの場合根本的なところは何かずれてると思うだけど。
つーか絶対の確信を持ってなんか違う事言ってるんだけど。
それと、遂に鼻クソをほじりだした彼等に、もう完璧に客に対する態度じゃない事をだれか教えてやって欲しい。
「まあまあ人の話は最後まで聞くものですよ?常識です」
「まさかお前にそれを言われる日が来るとは思わなかったわこの小娘」
舌打ちが混じった銀時をどうどう、といさめて、小唄は続ける。
「ちなみに今日婚約の儀なんですけども」
「馬鹿ですかお前は世界一の馬鹿ですか。何でそんな大事なものなくすの!?」
「ポッケに入れといたらいつの間にか」
「もっと丁重に扱えバカ!!もうやだ帰れよ!!金も持ってねぇし!」
「大丈夫ですってー。お金なら払いますってー」
よりによってこんな金にならなそうな仕事……とかげんなりと銀時は呟いたが
引きうけてしまったものは仕方がないということで。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「………ねぇな」
夕陽が沈みかけた海辺で、ザザァンと波の音に混じった銀時の呟き。
あの後結局一日かけて病院やら真撰組やら長谷川さんのバイト先やら探しにいったのだが、徒労だった。
そんな小さい貝が、何の手掛かりもなしに見つかる筈がないのだ。思い知った。
ちなみに探す過程はそんなに面白くないので割愛する。
え?そこが肝心な聞きたいところ?
知るか銀さんもうヘトヘトだからね!回想とかまじ無理だから!武井くんを見習えよ!
あいつあんなに頑張ってんのに「そうなのー」しか移してもらえねえんだぞ!!
「銀さん大丈夫ですか百面相してますよ」
「いや…武井君頑張ってんなと思って。手越君より共感できるわ俺」
「は?大丈夫ですか銀さんは頭の中までチリチリなんですか?」
小唄はむかつく発言を投げ捨てて少し離れたところに腰を下ろした。
「ところで…新八君と神楽ちゃん遅いですね、どこまでタイヤキ買いにいったんでしょう」
しかもさりげなく話そらすしね。
何この子思考回路ショート寸前なんじゃねぇの?
「それはそうとお前人魚の末裔のクセになんで足生えてんの?」
こっちも会話をそらしてやったざまあみろ。
…………アレなんだこれ、会話のキャッチボールができねぇやこれ。
「ああ、これは魔術師さんに頂いたんですよ。【人魚姫】の定石じゃないですか」
あ。意外にキャッチボールできた。
「へえ俺お伽話とか金太郎しか読まねえから。…あれお前声出てんじゃん」
「読んでるじゃないですか!……ああ、違うものと交換してもらったんで」
ふっ、と小唄は笑った。視線がゆっくりと、自身の長い袖にいく。
「…………まさかお前、腕、」
「いやスパッツです」
「……ごめん、よく聞こえなかった。もっかい言って」
「いやスパッツです」
そのままそっくり言い返しやがった。
つーか
「スパッツ!!?じゃあ何今のくだりいらねえだろ!てかスパッツなんて貰ってどうすんだ魔術師!!」
「何か
『もう足とかいっぱいホルマリン漬け持ってるからどっちかっていうと女子高生のスパッツのが欲しい』」
って言われたんで、じゃあと…」
「どんだけ欲望に忠実な魔術師なんだよ!そんでやっちゃうお前もどうなんだよ!台無しだわ!!」
「いーじゃねぇですか、スパッツの一枚や二枚。どうせ2枚で500円だったやつですよ」
「やめろ!夢壊すような事言うな!お前はどこに恥じらいを落としてきたんだ!」
「銀さーん、タイヤキ買って来……何してんですか」
そんな事をしているうちに新八と神楽がタイヤキを抱えて帰ってきた。
ちょっと前に、小腹がすいたので買いに行かせていたものである。
「おーごくろ……おい、神楽の持ってる袋、からなんだけど」
「さ…さっき転んだ時に落としちゃったアル。ごめんネ銀ちゃん」
「ほっぺの周りにあんこ付けて幸せそーだなてめぇは」