二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- ポケットモンスター -ブラッキー×エーフィ ( No.9 )
- 日時: 2010/04/28 21:13
- 名前: くぁーつ (ID: WPWjN3c4)
あなたは、本当に優しい人ね。
(ならお前のことを俺は、神様と呼んで崇めよう)
【 あったかい心 】
「……ほら、やっぱりあなたは優しいじゃない」
優雅な慈愛に満ちた笑顔を浮かべながら、エーフィはブラッキーへと語りかけた。
ブラッキーはエーフィの言葉に顔を上げたが。微妙な表情を浮かべたのちすぐにまた俯いてしまった。
困ったような微苦笑を零し、エーフィはブラッキーへと体を寄せる。
「クロ、……聞いてる?」
「……聞いてる」
そしてまた優しく語り掛けると、“クロ”と呼ばれたブラッキーはぶっきらぼうに言葉を返した。
エーフィはため息にも似た息を吐き出しながら、クロの背中を尻尾で軽く叩く。
「笑顔になりなさいよ。あなたは、笑顔になっている時が一番だわ」
「……ハク」
ふんわりと微笑みながら言ったエーフィ——ハクの言葉に、クロはまた顔を上げる。
今度はすぐに俯くことはせずに、ハクの名前を呼んでから、自虐めいた笑みを浮かべた。
「俺は」、とか細い声でクロが言う。あまりにも弱々しく儚い声だったが、ハクは聞き逃さなかった。
「……どうしたの? クロの悩みなら、全部あたしが受け止めてあげるから。……ね? 安心して」
「——有難う、ハク」
ハクの温かい言葉に、クロは照れたように顔を背けた。そんなクロを、ハクは温かい表情で見守る。
そしてそれから呟かれたクロの礼に、ハクは今までより一層表情を和らげた。
「——ほら、やっぱりあなたは優しいわ」
慈愛に満ちた表情で、クロの瞳をしっかりと見つめながら言う。
クロは少し理解に苦しむような表情を浮かべ——そんなクロを、ハクが優しく諭す。
「だって、素直にお礼が言えるもの。大丈夫——あなたはちゃんと、あったかい心を持ってるわ」
クロは頬を緩めながら、ハクの頬に自らの頬を摺り寄せる。
「——そうだと、いいのにな」
ぽつり。複雑な感情が込められた一言が、クロの口から零れでる。
ハクはふっと微笑み、クロに向けて言葉を紡ぐ。
「大丈夫、あなたはちゃんとあったかい心を持ってる。絶対よ」
「どうして言い切れる」、とクロが尋ねかける。どこか哀しみの滲む表情で。
ハクは、クロに向けてさらに言葉を紡ぎだした。
「——あたしがそう思うんだから、間違いないわ。クロ、あなたは優しい。あったかい。だから、安心していいのよ」
嗚呼、と。クロはハクの言葉に、“あの時”の出来事が、だんだんと癒されていく。慰められていく。
きっと、彼女ならこの傷を塞いでくれるだろう。
——そんな安心感を、抱いた。
(つづきます。続きは恐らく明後日かそれ以後です)