二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 銀魂 (何でも) ( No.58 )
日時: 2010/06/16 14:35
名前: スケさん (ID: I0Z91nOZ)

第十訓 漫画を読んでいると真似をしたくなる



「んだよォーここにもねーのかよ。もうコレで十件目だぞ………」

コンビ二を出て、人に八つ当たりしそうな勢いでブツブツ喋っている銀時は、目の下にクマができているほど少年ジャンプを探しているのであった。

「つーかァ可笑しくねーか?これだけ探してるのにジャンプが見つからねェーなんて……誰かの陰謀じゃね?いやマジで………」

スクーターに乗りながら、ブツクサ言う銀時。

「しゃーねェ…あそこにならジャンプあるだろォ…」

心の中に期待を抱いてスクーターをフルスロットルで飛ばした。

★★★


「おいおい、ここにもないのか…一体ドコにあるんだ俺の愛しのジャンプ………。」

ここにもジャンプを求めて彷徨っている、忍者服部全蔵がいた。

「てゆーか、おかしーなー…これだけジャンプを愛している俺がジャンプを見つけられないなんて、俺一応忍者なんだしよー見つけて当然だと思うけどな………。」

屋根を飛び越えながらジャンプを探す全蔵。

そのままの状態で屋根から飛び降りた瞬間、スクーターにはねられた。

——ドカッ!!

「イッテェェェェェ!!!」

全蔵の虎穴にヒットした。

「あれ〜〜?大丈夫ッすか?すんません前見てたんすけど、まさか上から来るなんて思ってなかったんで………」

「いえ…こちらこそ。忍者が昼間から屋根を飛び越えていたのが悪いんですし………」

見つめ合う二人。

「てめーこんなところで何してやがる?」

「何って?オメーには関係ねェーだろう?」

二人は互いにそわそわしながら話しているため、(何そわそわしてんだコイツ?)

と、頭の中で思っていた。

すると、全蔵は「ま、そういうわけなんで俺はここでおいとまするぜ———」

そう言って、その場から逃げるように離れようとした時………

「おい待てよ。」

と、銀時に呼び止められる。

「なっ…何だよ?」

「さっき『そういうわけ』つったけど、どういうわけなんだァ?」

口元をニヤニヤしながら、全蔵に尋ねる。

「どういうわけって……アレだよ、てめェーがさっき俺の痔にダメージ喰らわせたから病院行くんだよ。」

「そうだったな…なら、俺も一緒に引率してやるよォ。」

(こ…こいつ…勘付いてやがるのか?)

全蔵の第六感が銀時に反応した。

だがそれは、銀時にも同じこと。

(なぜだかわからねェが、俺のセブンセンシズがこいつも俺の求めている物。そう!ジャンプを探しているのを感じやがる………。)

そして、心の中で不敵に笑う銀時。

(クックックックッ…ならば取るべき行動は一目瞭然。痔持ち忍者について行き…コイツが見つけたとき横取りしてやるぜ。行くぞ!俺の小宇宙(コスモ)よ!!!!)

脳内瞑想時間終了。

「いや…別について来なくていいだろう。母ちゃんじゃあるめーし———」

「遠慮すんなって〜俺たち知らない仲でもないしよォ〜。」

「いやァだからいいんだって、つーかついて来んな。」

「そう言うなやァ連れて行っても損はないぜェ〜〜。」

口論が口論を呼んでしまい、終わらないワルツへとなってしまった。

(くそ!このままじゃ俺はジャンプを探しにいけなくなっちまう………何かキッカケがあれば———)

全蔵は辺りを見渡す。

(どこか…どこか…どこかにキッカケはないのか———)

すると、銀時の後ろから大変そうに荷物を持つバアさんが歩いてい来る。

(大変そうだな………んっ?待てよ…そうだ!これだ!!)

頭の中で何かが閃いた全蔵。すぐに忍者の特性を活かしバアさんの所に行った。

「うお!?野郎はどこ行きやがった…。」

必死で全蔵を探す銀時。

「いや〜ほんまに助かったわ〜。」

「いえ…当たり前の事をしているだけですよ。」

全蔵は先ほど見つけたバアサンの荷物を持ち、銀時の視界から消えるように持っていた。

(ふん…忍者舐めんなよ天パ侍………それにしてもこの荷物重いな?…ちょっと聞いてみるか。)

「あのォーおばさん。」

「何ですか?」

「この荷物の中身は何すか?」

バアサンは涙を浮かべ全蔵に言った。

「この中身はのォジャンプなんじゃよ。」

「あっジャンプすか大変ですね〜〜〜………えっ…ジャンプ?」

「そうじゃ、ジャンプじゃ。」

「マジッすかーーーーー!!!!」

開いた口が塞がらない全蔵。

「えっ!ちょ!まさか!?今週号!!!」

「そうじゃ今週号じゃ。」

ラッキーーーーー!!!!

魂の叫びが聞こえてくる。

「あっ…でもなんでそんなにジャンプを集めてるんだ?」

「それはのォ…ちょっと長話につきおうてもらいますやろか?」

歩きながら目的地に向かう全蔵とバアサン。

「ああいいぜ。」


それでは——————

★★★


そう、あれは…三十年前の事じゃった———

私には結婚を前提にお付き合いをしていた人がおってのう、それはそれはカッコいい人じゃった。

でも、周囲の人から見たら堅物の人にしか見えなかったんじゃ。

仕事は真面目。時間ピッタリには帰ってくる。私が大黒柱だ。

他の人達にはそういう印象…要は先入観で見たらそういう人にしか見えなんだ。

だがそれは、他の人達の想像でしかすぎなんだ。

実際会ってみたら、しゃべるはしゃべるは話が止まらなんだ。

そして、いつも話題に出たのがジャンプじゃった。

★★★


あの人はジャンプの話になると、子供みたいにはしゃいでいたは———

「なあ!今週号のジャンプ見たか?俺のはまっているドラゴンボーズ!!今回はスゲーんだ!!!なんと、ハメック星での最後の戦いが出てたんだよ〜。」

「へえ〜そうなの〜。」

「くそーーー!先週号見逃すんじゃなかったな。ジャンプは見逃すと先々進むから嫌なんだよな〜〜〜。」

「その割りには、楽しそうに喋るじゃない?」

「あっ!わかる〜〜?そりゃそうだよ。ジャンプは前に進まないと面白くないから、別に見逃しても見たい漫画があるなら単行本買えばいいしね〜。」

あの人はいつも楽しそうにジャンプを語っていたから———

何でそんなにジャンプが好きなの?って聞いてみたの。

そしたらこう答えたの———

「わかんねェー。」

彼はそう言ったの。おかしいでしょ?

好きな理由もないのに、ジャンプが好きだなんて………。

でも、続きがあるの。

「…けどよ、それでいいと思うんだ。」

「えっ?どうして?」

「好きなものに理由なんていらないだろう?理屈じゃねーんだよ。」

それから間もなくして…彼は事故で死んだわ。

★★★


「………………。」

「御免なさいのォ。長話につきおうてもらって———。」

「いえ…とんでもない、いいお話でしたよ。」

そして、目的の場所に着いた。

「ここは…墓場?」

「ええ………こっちじゃ。」

先を進んでいると、あちらこちらに当たり前のように墓が建てられていた。

バアサンの足取りは、当然のように彼の所に向かっていた。

「あっ着きました。ここじゃ。」

目の前の墓にはジャンプが何重にも重なって置いてあった。

「すげーー量だな………。」

あまりのジャンプの多さに全蔵はたじろいだ。

「これ…いつもバアサンが持って来てたのか?」

小さく頷くバアサン。

すると、バアサンは袋を漁りだした。

そして、全蔵にある物を渡した。

「はいよ、ありがとう。お礼のジャンプじゃ。」

しかし、全蔵は受け取るのを拒んだ。

「いや…こいつは受け取れない。」

「どうしてじゃ?」

「こいつは…このジャンプは…あんたの彼の物だろう?そんな大事なもの受け取れる訳ねーよ。」

バアサンはそれでもお構いなしに全蔵に渡した。

「なっ!?バアサン!!」

「私は思うんじゃ…あの人ならあんたみたいなジャンプを愛する人に見てもらえたら楽しく語り合ったじゃろうな………。」

「バアサン…あんた………。」

言葉が続かない二人。そして、全蔵は言う。

「わかったよ。じゃあ有り難く貰うぜバアサン。」

「ああええよ。」

「それじゃ達者でな!」

全蔵はその場から姿を消した。

「達者でのォ。ジャンプ忍者。」

その日の昼は明るく輝き、子供達が愉しげにジャンプを読んでいた。

★★★


「あァちくしょーーー!!!痔持ち忍者見失ったーーー。」

その頃の銀時は、全蔵を探していた。

「どうしよ…マジで今週号が見てェ。………もう新八にでも頼んでみようか…もしかしたら買ってるかもしれねェーし!」

何の根拠に言ってるのか知らないが、銀時は急いでスクーターを全開で飛ばした。

———ッブロロロロロォォォォォォ!!!!

「アホか、あいつは。」

屋根の上で寝転がりジャンプを読みながら、馬鹿にした。

「てゆーか………やっぱり最高だな少年ジャンプは———」

嬉しそうに独り言を言った全蔵は、ジャンプごと空を見上げた。