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第16話　≪　代償　≫



『電流を流せ』

『離せ！やめろ!!…うっ、あああぁぁあぁぁあああああ!!!!!!!』

『効果が無いな。もう一回だ』

『あっ…ぅあ゛…っ!!』


あぁ…そうか。思い出した。


「俺は…——」


実験体だったんだ。


「君は施設で育った。だが、そこの施設は実験をやっていた。人間を使って、まだ子供の君達を使ってね」


俺は、造られた人間と一緒だ。


「人体改造計画。それに、君が入ってるとは思わなかったよ。少し昔の事件に首を突っ込んだら君の名前が入っていたなんて」


臨也の言葉が俺の頭の中で回る。
そして、記憶との同化を始めていく。


「彼もでしょ？東条翔くんも、君と同じ施設育ち。まぁ…君よりもずっと早く人体実験に加わっていたらしいね」


突きつけられた事実には、絶望が入り混じっている。
黒く深く、ずっと俺の見ていた夢よりも過酷で——


「さて、俺がタダで教えてあげる事実はこれまでだ。俺も仕事が残っているからね。今日のところは帰ってもらってもいいかな」


俺はゆっくり足を動かした。
頭の中はまだ整理がつかない。



＊


「波江」

「…何よ」


俺は淡々と尚且つ黙々と仕事を行っている波江に話し掛けた。


「君の祖父もそれに加わってたんだろ？」

「さぁね。そこまでは分からないわ」


俺は「ふぅ〜ん」と言い、手元の資料に目を向けた。
そこに記されている記事。


“○○施設の人体実験をしていた研究員、不可解な死を遂げる”


「まったく、予想通りに動いてくれると思ったのに…」


少しだけ愚痴を入れ交えながら言った。