二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: テニプリ“You are loved”五話up ( No.42 )
日時: 2010/05/08 19:07
名前: 夜琉 ◆nFgGo2zKeY (ID: CUrDDjil)
参照: http://d.hatena.ne.jp/my-reborn/

Episode7 「有名×男装女子」

「……ふざけるな!」(麗)

テニスコートには、麗の叫びが響いた。
これでもかというほど、大きい声が。
だが、耳にキンッとくるほど大きい声ではない。

「男子テニス部入部? 男装で大会に出る? ふざけるな! 私は認めない!」(麗)

確かに、そんなことで認める奴など居ないだろ。
もしそれが、男子が女子テニス部入部とか、女装で大会に出るとなれば、黙っていられないだろう。


「何? 何の騒ぎ?」(?)
「分かんないの〜」(?)
「お? 何か、面白そうじゃん?」(?)

一番最初は、ちょっとおっとりした感じの男。
二番目は、超天然って感じの女。
三番目は、いかにも元気で明るいって感じの女。

「名前言ってなかったよな? 俺は、中務隼人だぜ?」(隼人)
「私はぁ〜、畏霊 夏実だよぉ〜」(夏実)
「俺はさッ、神田 瑞生! 一応、女だかんな!」(瑞生)

この三人の生徒達が寄ってくる。
すると、蘭の目がキラーンと光った。

「夏実ちゃ〜ぁん! (救世主だぁ〜)」(蘭)
「絶対やるかっつの!」(麗)

見た目から、かなり苛立っている麗。
先生や海輔も、かなりあたふたしているようだ。
大体、何故女子までもを、男子テニス部に入れなくてはいけないのか。
それ自体がまず、おかしいことであろう。

「つか、女子が何で男子テニス部何だよ。このカス!」(麗)

麗が、海輔に向かって怒鳴る。
やはり、あたふたしている。

「君の母もそうじゃないか。“復讐”のために——……」(海輔)
「“復讐”?」(麗)

海輔が、ハッとなって口を塞ぐ。
麗が下を向いて、そのままの体勢になる。
その麗の拳は、小刻みに震えていて。
怒ったのかと思えば、クスクスと笑い出す。

「母さんも復讐したい相手、居たんだ?」(麗)

麗が、黒く笑って言う。
あの冷静である、部長やリョーマ。
不二でさえもを、ビビらせてしまうような。
これには、誰もが驚いた。
今来たばかりだというのに、驚いた人も三人ほど。

「ねぇ、教えてよ。その話。そしたら、のってあげるよ」(麗)
「……分かった」(海輔)

少しずつ話してゆく海輔。
そんな海輔は、かなりビビっていた。
「君の母さんには、復讐したい奴ってのが居てね。しかも、君と同じパターンで——……」(海輔)
—————海輔side—————
そう、君の母さんには、復讐したい奴が居た。
その“奴”というのが、自分にテニスを教え込んだ自分の母。
君と同じように君の母さんは、自分の実力のせいで学校で虐めを受けていたんだ。

「虐め……ねぇ」(麗)
「……ふぅん」(リョーマ)

君の母さんは、一際目立つ凄い選手だったよ。
俺も、一目瞭然としていたね。
ありえないほどに、凄い選手だった。
だからこそ、それを憎む奴等が虐めを仕掛けてきた。
相手は、“女”ではなく“男”。
力も圧倒的に違うものの、実力だけには差がかなりあった。
もちろん、君の母さんの方が上だったけど。
——————————
「ってことで、母さんを恨んだわけだ」(麗)

麗が、ニヤニヤと笑う。
その笑顔がまた、かなり怖くて。
麗の回りには、もう殺気しかない。

「いいよ。約束通り、やってあげる。もちろん、“復讐”のためにだけど」(麗)

それだけを言う麗の回りには、殺気が漂っていた。
おかしい。いつもの麗と少し違うような——……。
いつもなら、何にでも興味を持たずに居る麗。
なのに、この話には興味を持つ。
あの、黒い笑顔の裏側には何があるのか……。

「まぁ、男装なら普通にやってるし。しかも、通用しちゃってるんだよね」(麗)
『は!?』

麗の一言に、一同が唖然とする。
“男装は普通にやってる”。
そう、この言葉に。

「だから、越前リョーマ。君のことは、アメリカに居る時から知ってるよ」(麗)
「……アメリカに居たんだ」(リョーマ)

リョーマが、不適に笑う。
それを見て、同じく麗も笑う。
“アメリカに居た”。
これまた、信じられないこと。

「分からないだろうけど私、あんたとテニスやったことあるよ。結果、私の勝ちだったけど」(麗)
「……まさか——……、白k「シーッ。今から、すぐ分かるから」(海輔)

海輔が、リョーマの口に指を当てる。
もちろん、ニコニコと笑って。
すると、黒髪でショートのウィッグを無理矢理、麗にかぶせる。
麗は、かなりキレているが。

「何すんだ、この野郎!」(麗)
「ほら、分かったか?」(海輔)
「……やっぱり、白神啓輔だったんッスね」(リョーマ)

その姿というのが、まさに男そのものの姿。
わりと、結構カッコイイ。
だが、驚いた事に、名前までついていた。
“白神啓輔”という名前。
その名前というのが、また有名なのなんのって……。

『あの有名な、白神啓輔——!?』