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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 鋼の錬金術師 —消えない嘘— ( No.12 )
- 日時: 2010/05/19 17:21
- 名前: ちー ◆m6M0e7LQrQ (ID: MnGilHyY)
銀色の輝き。それに、聞いただけで恐れられることもある名。
それは、狗の証——……。
第4話 「狗の証」
「っ! おい!」
エドワードは、少女に駆け寄った。少女は荒い息遣いをしで、額には汗がたくさんでている。
エドワードは自分のコートを脱ぎ、少女の服にあてた。これ以外に、止血する為の方法はなかったからだ。
「おいアル! 軍人呼んで来い!」
「分かった!」
アルフォンスがかけて行くのをエドワードは見届けると、さらにコートを少女の脇腹に押し付けた。
元から赤いコートは、さらに赤く染まって行く。
ガシャガシャというにぎやかな音がしたと思うと、アルフォンスが軍人を連れて立っていた。
「おいあんた! 頼む、手伝ってくれ!」
「はっ、分かりました!」
軍人は敬礼をすると、しゃがみこんだ。アルフォンスは、少女をのぞきこんでいる人々をよけている軍人を、手助けしに行った。
「おや……この子……」
エドワードと共に作業をしている軍人が、ぽつりと呟いた。
「どうしたんだ!? 何か、変なもんでもあったのか!?」
「あ、いいえ。ただ、少女の服のポケットから、銀時計が出てきまして……」
軍人は、銀色に輝く時計をエドワードに見せた。
銀時計。それは、国家資格を持つ者が持つ時計だ。
エドワードも、銀時計を持っている。
国家資格を得た者は、銀時計と、二つ名がさずけられる。
「じゃあこいつも国家錬金術師か!?」
「えぇ、そのようですね。しかもこの目元の錬成陣……。間違いありません、この子は、あの錬金術師です」
軍人が、真面目な顔でエドワードに言った。
「あの錬金術師……?」
「知りませんか? 全ての“嘘”は見抜かれ、真実も見抜かれる。その目で見る物に狂いなし。彼女の二つ名は、“真実”。真実の錬金術師ですよ」
〜つづく〜
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