二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 鋼の錬金術師 —消えない嘘— ( No.20 )
日時: 2010/05/19 17:19
名前: ちー ◆m6M0e7LQrQ (ID: MnGilHyY)

 私がこんなに必死になる理由?
……人には、人なりの理由があるんだよ。

      第6話 「理由」

 エドワード・ロイ・ホークアイは、少女連れ、病院へと到着した。
 少女の傷口はかなり悪化していて、運が悪ければ——と言う事だった。

「鋼の。手伝ってもらって、悪かったな」

「全然。何か、今日の大佐いつもと違うな」

 エドワードが笑って言うと、ロイはエドワードの方を見て、微笑んだ。
 ホークアイも、クスッと笑った。

「あぁ。そうかもしれんな」

 ロイは、エドワードを見て、さらに微笑むと、遠くを見るような眼差しで、天井を見た。

「彼女は、少し……いや、少しどころじゃない。……可哀想な子だ……」

「可哀想な……子?」

 エドワードが眉間にしわを寄せて聞くと、マスタングは深くうなずいた。
 その時、ガシャガシャと騒がしい音が響いた。

「アルフォンス!!」

「置いて行くなんてひどいよ、兄さん!」

 アルは仁王立ちの格好で、エドワードを叱った。

「まぁまぁ、アルフォンス君。腰かけなさい」

「あ、ありがとうございます。ホークアイ中尉」

 アルフォンスが腰かけたのを見て、ロイはまた、ぽつりぽつりとつぶやき始めた。

「あの子の名は……レン・アード。真実の錬金術師だ。それは、知っていたか?」

「あぁ。知っていた」

 エドワードはうなずきながら言った。

「……彼女は、その二つ名の通り、人の真実を見ることができる。真実……。そうだな、相手の心、過去、脳裏、そして相手の運命。それが、真実」

 マスタングは、静かに目を閉じた。

「……まぁ、鋼の。あとは、張本人に聞くんだな」

 そう言うと、ロイは立ち上がった。それに続き、ホークアイも立ち上がる。

「レン・アードを……任せたぞ、鋼の」

 そう言うと、去って行った。

  〜つづく〜