二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 鋼の錬金術師 —消えない嘘— ( No.38 )
日時: 2010/05/19 17:37
名前: ちー ◆m6M0e7LQrQ (ID: MnGilHyY)

 もう……私を拒まないで……?
そんなの、悲しすぎるから——……。

      第12話 「怪我復活」

 ドガーンッッ! ボカーンッッ! と、エドワードとレンとアルフォンスは、町を破壊して行く。
 そんな事は頭にないのだろう。エドワードはものすごい顔をしながら、レンを追いかけている。
 レンはケラケラ笑いながら逃げ続けている。そんなに逃げ続けていて、傷口は大丈夫なのかが分からない。

「グ……ッ!」

 レンはその場にしゃがみ込み、脇腹をおさえた。
白い包帯が何重にも巻かれているが、早速血がにじんでいる。いくら手術をしたと言っても、暴れたら傷口は開く。当然の事だろう。
 
 エドワードとアルフォンスは、レンが脇腹をおさえているのを見て、ひやっとした。

「ちょっ、おい! 大丈夫か!?」

 エドワードはレンに慌てて駆け寄った。レンは、苦痛をだいぶこらえているらしい。苦々しい顔をしている。
 次の瞬間、レンが片手でパシッと口元をおさえた。

「う……ゴフッ……」

 その手の間を、血が飛び出してきた。エドワードとアルフォンスは、驚きのあまりに声も出ない。
 レンは口から手を離し、自分の手を見つめた。
そこには、血がついていた。レンは目を見開きながらそれを見つめる。

「大丈夫かよ、レン」

「だ、いじょ、ぶ……。つ、づき、しよっか……」

 レンは立ち上がろうとしたが、フラッと体がぐらついた。
 アルフォンスが慌てて、それを支える。
 
「無理しちゃだめだよ、レンさん。追いかけっこはまたすればいいでしょ。早く病院に戻ろう」

「ぅ……ゲホッ……ゴ、メ……」

 レンは途切れ途切れに言葉をはいた。エドワードとアルフォンスは顔を見合わせ、走り始めた。
 アルフォンスはしっかりとレンをお姫様だっこしながら走る。
 エドワードはとりあえずしにものぐるいで走った。

  







「傷口がまた開いてるじゃないですかーっっ!! どーしてかけッこなんてしたんですかーっっ!! この子の体考えましたかーっっ!?」

 ギャアギャアと怒る医者にこっぴどく叱られたエドワードとアルフォンス。
 が、逆ギレする者もいる。

「考えたにきまってんだろうがーっっ! でもそいつが自分を捕まえられたら病院に戻るっていったからやったんだってのーっっ!!」

 担架に再び乗せられたレンをエドワードは指さしながら医者に逆ギレした。
 こんどはエドワードに叱られた医者は、また、治療室に入って行った。

「……ったく。無理しやがってあの野郎」

「兄さん、とめればよかったじゃないか。あんなにうまく乗せられちゃって」

 エドワードはアルフォンスにトゲトゲしい言葉を言われた為、うっ、と返事につまった。
 その時。

「レンは……」

 レンの母親らしき女性が、エドワードとアルフォンスに聞いた。
 入院手続きは終わったようだが、またしても治療していると聞いたらしく、顔が蒼白になっている。

「あ、ちょっと……ね」

「あの子、錬金術を、どれくらい使いましたか?」

 女性の言葉に、エドワードとアルフォンスは顔を見合わせた。

「……3回くらい……かな?」

「その中で、物を真実の姿に変えるのは、何回ほどしましたか?」

 女性の言葉にエドワードとアルフォンスは再び考えた。

「ほとんど……ですかね?」

 アルフォンスが言うと、女性は目を見開いた。
そして、その場に崩れた。アルフォンスが慌てて女性を助け起こした。

「あの子……その力を使うと……寿命を縮めてしまうんです……」

 今度はエドワード達が目を見開く番だった。
   〜つづく〜