二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 鋼の錬金術師 —消えない嘘— ( No.4 )
- 日時: 2010/05/19 17:19
- 名前: ちー ◆m6M0e7LQrQ (ID: MnGilHyY)
自分の為に、人を盾にするって、いい事?
——そんなの、ダメに決まってるよね。
第1話 「少年と狗」
「金を出せ! さもないと、この女がどうなるか!」
とある店に、強盗が入りこんでいた。男が3,4人くらいいる軍団だ。
人質に取られている女性を中心に、男達は人たちのお金を奪って行っている。
そんな中で、全く脅えていない様子で食事を続ける者が1人。
「なぁ、アル。このスープ、味薄すぎて飲めたもんじゃねぇんだけど?」
「味薄いの? でも兄さん、ごくごく飲んでたじゃないか」
「無理してたんだってのっ!!」
金髪の三つ編みの少年、エドワード・エルリック。黒い服と黒いズボンの上に赤いコートを羽織って、厚底のブーツをはいている。その右腕と左足は機械の腕、機械鎧<オートメイル>だ。
そして、背丈2メートルはあるであろう、青銅色の鎧。アルフォンス・エルリック。
その鎧の中身は空で、何もない。ただ、血で描かれた印。血印がある。
この2人は幼き日に、錬金術世界の最大の禁忌、人体錬成を行った。母親を蘇らせようとしたのだ。
兄のエドワードは左足を失い、弟のアルフォンスは全身を失った。
しかし、エドワードが再びアルフォンスの魂を錬成し、鎧に定着させた。そして、さらに右腕も失ったのだった。
今現在、エドワードの失った右腕左足は機械鎧<オートメイル>という機械が定着されていて、アルフォンスの中身は空だ。
鎧の体部分の上部に描かれている血印で、その魂と肉体が繋がれているのだった。
この2人組が、落ち着いて食事を続けている。
それを強盗の1人が発見し、怒りを滲ませた声で叫んだ。
「おいそこ! 何喋ってんだ! 黙っとけ!」
「うるっせ! スープの味が薄すぎんだってのーっっ!!」
エドワードは叫ぶと、机をたたき、立ち上がった。アルフォンスがそれをため息をつきながら見つめている。
「知るか! 座っとけ!」
「……座れ、と言われて、今この状況ではいわかりましたって座るやつ、いると思うか?」
エドワードが冷たく言った瞬間、男が持っていた銃がエドワードの頭につきつけられた。
「お、おとなしくしてろ! さささ、さもないと撃つぞ!!」
男は人を撃った事ないのだろう。ただ銃を持っているだけらしい。
エドワードに向けている銃を持つ手が震え、かなり動揺している。声も震える。
「へぇ〜。その銃、本物なんだ」
エドワードは小馬鹿にしたように笑いながら、両手をあげた。
しかし、この少年なら大丈夫だ。なぜなら——
「ぐおぇっ!」
エドワードは、銃口をつきつけていた男を、思いっきり蹴飛ばした。
「人の頭に思いっきり銃つきつけんな! 銃口あたって痛いんじゃ、ボケ!!」
一般人とは 違うから。
男が倒れたのを見たあとの男は、顔色を変えた。
そして、エドワードに向かって発砲を始めた。
「あんまり、なめんじゃねーぞ?」
「なっ!? なんだと!」
男はさらに、顔色を変えた。そう、なぜなら。
「もう一度言っとく。……なめんじゃねーぞ?」
彼は、史上最年少国家錬金術師だ。
国家錬金術師には、銀時計という物と、二つ名がさずけられる。
彼の二つ名は、「鋼」
史上最年少国家錬金術師、鋼の錬金術師。エドワード・エルリックだ。
〜つづく〜