二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 鋼の錬金術師 —消えない嘘—  ( No.44 )
日時: 2010/05/19 17:38
名前: ちー ◆m6M0e7LQrQ (ID: MnGilHyY)

大丈夫、ほら、笑えばいいじゃん。
もっと、もっとさ。自分の過ちなんて、忘れちゃえ——!

      第13話 「等価交換の先に」

「……は? な、に言ってんだよ……?」

 エドワードは女性の肩をつかんだ。女性はその勢いに後ろに1,2歩下がった。
 アルフォンスが慌てて、エドワードを女性から引き離した。

「……どう言う事だよ」

「……錬金術の基本中の基本、等価交換。人の真実を見るのには、少しの代価しかいらない。だけど、真実の真実を使うのには、それなりの代価がいる。人の能力を使うのにも、それなりの代価がいる。そして1番代価が大きいのが——物、人を真実の姿に変えたりするのには、それなりの代価が必要となる」

 女性は悲しそうな声で言った。
 エドワードもアルフォンスも、言葉が何も出てこなかった。
ただ、息をのむしかできなかった。頭の中で言葉を考えても、煙になって消えて行く。

「……エドワード・エルリック君と、アルフォンス・エルリック君よね」

 女性はニッコリと笑って、アルフォンスに近づき、鎧をコンコン、と叩いた。
 エドワードとアルフォンスは、ビクッとなった。

「やはり空洞。中身は空ね。で……エドワード君の右腕と左足が、機械鎧<オートメイル>かしら?」

「な、なんで……」

 女性はまた微笑んで、驚きで目を大きくしているエドワードの髪をなでた。
 いきなりの事に、エドワードはかなり驚いた。

「左右の足音の違い。中身のない事を示す音。そう……はっきりとは言わないけど……過去に、何かあったのね……。……私の名前は、マレア・アード。よろしくね、エドワード君、アルフォンス君」

「よ、よろしくお願いします……」

 この人何者だ、とエドワードとアルフォンスは思いながらも、返事を返した。
 と、その時、治療室の部屋が開いた。担架に乗せられたレンが出てくる。

「!! おい、大丈夫か!!」

「レンさん!!」

 レンはうっすらと目を開け、エドワードとアルフォンスを確認するかのように見た。
 傷口にはまたまた包帯が何重にも巻かれていて、レンは苦笑いしていた。

「……ゴメンね。でも、息抜きできたかな……?」

「え……?」

 レンは微笑んで、エドワードの右腕を指さし、アルフォンスの鎧の体を指さした。

「エドとアルの真実見たら……大変そうだったから……私のもあるんだけど……息抜きになればいいな、って思って……」

「……バカやろ……」

 エドワードは俯きながら言ったが、その俯いた顔は笑顔で満ちあふれていた。
   〜つづく〜