二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 鋼の錬金術師 —消えない嘘—  ( No.51 )
日時: 2010/05/19 17:40
名前: ちー ◆m6M0e7LQrQ (ID: MnGilHyY)
参照: http://www.youtube.com/watch?v

 君が可哀想な理由。そんなの、知らなかった。
だからそんなに自分の母を嫌って、そんな発言ばかりしていたんだね——。

      第15話 「真実への態度」

 エドワードとアルフォンスは、司令部へと向かって行った。
 そして、マスタングのいる部屋に到着した。中からは、彼の高らかな笑い声が聞こえてくる。

「失礼しまーす……」

 エドワードがいらだちをおさえきれない顔で部屋に入ると、マスタングがエドワードを見た。電話を握っている。
どうやら電話の話し相手と会話していて、笑っていたらしい。

「おや、客が来たのでね。またあとで」

 そう言うと電話をやめた。エドワードは顔をひきつらせながら、マスタングの机の前まで歩く。
 
「あいつ、レン。何が可哀想なんだよ……。そりゃ、錬金術で寿命を縮めるのはあれだけど……。そんなの、物や人を真実の姿に変えなきゃいいだけなんだからな」

「おや、それは一体誰から聞いた?」

 エドワードはそっぽを向いた。アルフォンスが代わりに答える。

「レンさんのお母さん。マレアさんですよ」

「マレアかい? 今、電話で話していたのもマレアだよ」

 エドワードは口をあんぐりと開けた。アルフォンスも、かなり驚いている。
マスタングは妙ににやにや笑いながら、エドワードとアルフォンスを見た。

「……どう言う関係だよ」

「私が一度、お付き合いした事のある女性でね。彼女は私を好いてくれなかったがね。まぁ、せめて名前だけでも教えてもらおうと思って、教えてもらったんだ。連絡も少しだけでいいから取り合いたいといい、今、こうして連絡をとりあっている」

「……変態かよ」

 エドワードが悪笑みで言うと、マスタングはため息をついた。
 そして、エドワードとアルフォンスをかわるがわる見た。

「先程、彼女がなぜ可哀想なのか、と聞いたな。確かに彼女が寿命を縮める事もあるが、彼女は人々に避けられ、ずっと、“嘘”をつかれてきた。一度信じた者でもな。あのマレアさん、母親でも、彼女を恐れて彼女を避けたんだ。そこから彼女の性格は変わって行った」

「……ふっざけんな!!」

 エドワードが拳でテーブルを強くたたいた。アルフォンスも、マスタングも驚く。
 あまりの勢いに、机がカタカタと震えた。机の柱が折れてしまいそうだ。

「自分の真実を見られるからって……避けるなんてよ……そんなのありかよ……。あいつの能力、絶対役に立つとオレは思うよ」

「ボクも、そう思います」

 エドワードとアルフォンスが真剣に言うと、マスタングはフッと笑ったのだった。
   〜つづく〜