二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 鋼の錬金術師 —消えない嘘—  ( No.62 )
日時: 2010/05/22 19:09
名前: ちー ◆m6M0e7LQrQ (ID: uzSa1/Mq)

 この世の中、光だけで過ごしていけると思っていたら、大間違い。
見えない所で闇も動き、光を潰そうとしているのだから——……。

       第18話 「中央司令部では」

 エドワードが宿で眠っている頃、中央司令部では、まだ働いている人物がいた。
 エドワードの上司、ロイ・マスタングである。
部下のリザ・ホークアイに監視されながら、机の上の山積みの書類とにらめっこしている。

「ちゅ、中尉……。まさか、これが終わるまで帰らせないなどとは言わないだろうね?」

「はっきりと言わせてもらいます。帰らせません。大佐がもう少ししっかりとしてくれたら、私も帰れます。それに、大佐も帰れます」

「ハァ〜……。しかたがない……」

 ロイは山積みの書類を1枚とると、目を通しはじめた。そして、その目つきが鋭くなる。

「……中尉。あの、フォーデルの町での破壊事件。まだ続いているようだね……」

 最近、フォーデルという町では、何者かによる破壊が続いて、フォーデルの町が壊れて行っている。
 その破壊の黒幕は不明。目的も不明。いっさい不明なのだ。

 しかしその破壊事件で、フォーデルの町の人物が殺害されて行っているのは確かだ。
 無論、物も壊されている。

「フォーデルの町と言えば、あのアード一家の住まいがある所じゃ……?」

「あぁ。今は、あの真実の錬金術師の仕事でこちらにいるだけなんだがな」

 ホークアイが鋭い目でロイを見る。

「私が潜入捜査しましょうか?」

「……いや? 中尉はいい。……他に任せる」

「他……?」

 ホークアイがロイを見つめる。そしてため息をついた。どうやら、察視がついたらしい。

「さて、と……。明日、呼びだすとしよう」

 不敵に笑うロイの手元にある書類がホークアイによって別の場所に置かれ、まだまだある山積みの書類に失望したロイがいたというのは、言うまでもない。
   〜つづく〜