二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 鋼の錬金術師 —消えない嘘— オリキャラ募集中! ( No.86 )
- 日時: 2010/06/07 21:57
- 名前: ちー ◆m6M0e7LQrQ (ID: xjLgaDWy)
その破壊は、何のためにあるのか。目的は。
だけどお願い。この場所は……これだけは壊さないで——。
第23話 「レン」
「うわぁ! でっけぇっ!」
「あっちちっさい!」
子供たちが、エドワードとアルフォンスを指さしながら叫んでいる。アルフォンスは身を少し屈め、エドワードは猛烈な怒りを子供たちにぶつけた。アルフォンスがそれを羽交い絞めにして止める。
「だぁ〜れぇ〜がぁ〜ハイパーウルトラドチビかーッッ!!」
「落ち着いて兄さん。誰もそこまで言ってないよ」
「本当に。これじゃ、どっちが兄なんだか分からないね」
「レンてめぇっ!」
「レン!?」
エドワード達の真後ろから声が上がった。エドワード、アルフォンス、レン、マレアは後ろを向く。そこには、フォーデルの町の住人らしい女性が、子供を抱いてレンを睨んでいた。
レンは息をのみ、マレアは険しい目つきで女性を睨んだ。その時、レンに石が投げられた。
「いっ……!」
「出てけ! 化け物は出て行け!」
「てめぇら!」
「お前もそいつの味方か!? とっととそいつを連れて出て行ってくれ!」
レンに石が投げ続けられている。アルフォンスが慌ててレンの前に壁を錬成した。石は避けられたが、レンの身体は血だらけだった。
「……エ、ド……アル……。早く、こっ、ち……!」
レンが、エドワードとアルフォンスの手を引いて、走り出した。マレアも後に続く。そして、一軒の家に入った。どうやら、ここがアード家らしい。
家の中に入ると、マレアが急いで鍵を閉めた。と、その時、レンの身体がふらついた。
「レン!!」
慌てて2人が両側から支えた。レンは微笑むと、呟いた。
「大丈夫! 私なら大丈夫だから! 元気元気! ほら、2人ともソファにかけて! 私はちょっと、自分の部屋行ってくるから!」
そう言うとレンは、自分の部屋に行ってしまった。
大丈夫なわけないのだ。無理をしている、そんな事は誰が見ても分かった。レンは、優しすぎるのだ。他の人には心配をかけたくない、そんな優しさ。
「……レン……」
「……どうして? どうして私を避けるの? 嘘をつくの?」
部屋の中では、レンが涙をためながら呟いていた。
〜つづく〜