二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 鋼の錬金術師 —消えない嘘— ( No.9 )
日時: 2010/05/19 17:20
名前: ちー ◆m6M0e7LQrQ (ID: MnGilHyY)

 銃さえ持っていれば、我無敵?
そんな事、あるわけないでしょう——?

      第3話 「犠牲者」

「キャァァァァッッ!!」

 女性が大きな悲鳴を上げた。エドワードとアルフォンスは、目を大きくした。
       
       ウ タ レ タ ?

 いや、女性は撃たれてはいなかった。ただ、女性は、だ。女性の代わりに、あの少女が撃たれていた。

「まさか、本当に撃つとはね。まぁ、被害が起こらなかったから、いいけど」

 少女は撃たれたにもかかわらず、撃たれた部分をおさえてなんとか立っていた。

「う、うわあぁぁっっ!!」

 男が再び銃を発砲しようとした時、綺麗に銃が真っ二つにきれた。少女が、エドワードの錬成した槍できったのだ。

「……どうしたの?」

 隣にいるエドワードの目つきが変わったので、アルフォンスが何事かと尋ねた。

「アル……、今だ!」

エドワードとアルフォンスは、強盗たちを殴り、蹴り、踏みつけて、あっというまに伸ばしてしまったのだった。
  
   



「鋼の錬金術師どの、ご協力、ありがとうございました!」

「あ、どうも」

 すぐに軍人達がかけつけ、強盗を連れて行った。
しかし——一難去って、また一難とは、こういう出来事の事を言うのだろうか。

「ねぇ君、大丈夫なの!?」

 後ろからアルフォンスの叫び声がして、エドワードが後ろを向くと、脇腹から血を流し、そこに手を当て、荒い息をしながら歩いているあの少女がいた。

 エドワードもすぐさま駆けつけ、少女を止めた。

「歩いたら傷口が開くぞ。とりあえず、そこに座れよ」

「……大丈夫ですよ。ありがとうございます」

 少女はお辞儀をすると、エドワード達と反対方向を向き、歩きだした。

「おい、待てって!」

 エドワードは左腕で少女の肩をつかんだ。その瞬間、少女の目がきつくなった。

「なれなれしく、触らないでください……」

「だから! 待てって言っているんだよ!」

「大丈夫です! 放っておいてくださいっ!!」

 少女は思いっきり、体を回転させた。その瞬間、エドワードの頬に血がついた。

「っ……」

 少女の体が前に倒れて行く中で、エドワードとアルフォンスはそれを茫然と見ていた。
 我に返ったころには、少女は静かに目を閉じて、倒れていた。
  〜つづく〜