二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 白悪鬼と黒悪鬼が降臨した【銀魂】 もうすぐ真撰組殺乱編完結 ( No.419 )
日時: 2011/09/19 17:30
名前: 柚莉(●>ω<●) ◆K5Psnlr5tM (ID: Y9gy.IyS)
参照: あと一話で完結うううううう!!!!

*第三十九訓 目覚め


場所は変わって杏奈の部屋。




「てめェが何でここにいるんだよ…———」







銀時は病室に入ってきた人物に対し殺意を覚え、警戒態勢を取りながら名前を言った。










「——………杏…」







「久しぶりだねん、銀兄」





病室に入ってきた人物—杏はニコリと笑った。







「俺は、何でてめェがここにいるかを聞いてんだ」








「そんなにカリカリしないでよねん、銀兄。せっかくの再開が台無しだよん」







「俺はおまえと再会なんぞしたくなかった」







「おー怖いよん、銀兄〜。杏にはそんな気ないのにねん」






杏は銀時のことなどどうでもいいのか、ずっと杏奈を見たままだった。








「なーねぃ、相変わらず可愛い顔だなー」




銀時はいつも杏が杏奈のことをそう呼ぶのを思い出しながら、





「おめェは、一体何をしに来たんだ?」






「杏はただ純粋になーねぃが倒れたって聞いたら、お見舞いに来ただけだよん。なーねぃの顔も見たかったしねん」





「おめェが杏奈を好きなのは知っている。お見舞いに来たわけではないだろ。他に何かの目的があってきたはずだ」






「おー、勘が鋭い男はかっこいいねん。でも、本当に杏はお見舞いとなーねぃの顔を見に来ただけで、他には用事がなかったんだよん」




銀時は未だに杏に対し警戒態勢を取りながら杏を見た。





「言いたいことがあるならはっきりいうねん」




「…何で“あの時”杏奈を傷つけた」




銀時は声を振り絞りながら言った。




銀時が言った瞬間杏はニコニコ笑顔をやめ、無表情になり下を向きながら静かにポツリと言った。







「…仕方なかった」






「仕方なかった?」





銀時が聞き返すと、杏はバッと顔を上げ悲しみに満ちた目で銀時に言った。




「“あの時”はやるしか無かった…!誰がなーねぃを傷つけたいなんか思うか!!したくねーに決まってるだろうが!!杏だって辛かった…!!しなかったらなーねぃは…!!杏だってなーねぃがあんなことになる何て思わなかった!!!!」






杏は激怒し涙を流しながらもこう続けた。







「なーねぃが“家族”、“故郷”、“戦争”、“仲間”…!!双子の妹のりーねぃのことは覚えてるのに歳の離れた妹の“杏”の記憶が無い何て思わなかった……!!!!」






杏は銀時に向かい最終的には叫びながら言った。





「杏のことを忘れるだと…?杏里はそんなこと言ってなかったぞ…!!」










銀時は杏の口から語られた言葉に驚愕しながらもこう言った。









「確かに俺は杏奈が精神的なショックで記憶を失くしたのは知っている。俺たちのことを忘れていたのも知っている。だが、杏のことを忘れるなんて聞いてねェぞ!!」










「そのことを言ったら更にあんたはショックを受けるでしょ」











銀時の悲痛に満ちた声に黒髪女は言った。







「ただでさえ、杏奈があんたのことを忘れているだけで相当なショックだったのに杏のことまで忘れているなんて言ったらあんたはさらにショックを負い、自分のせいだと自分を責めるでしょ。だから言わなかった。それだけのことよ」













病室の扉にもたれかかりながら黒髪女—杏里は静かに淡々と機械に操られているように言った。







「この話は終わり。杏奈が目覚めそうだから」







杏里の言葉に銀時と杏は驚きながらも黙った。






「……ん…」





杏奈は寝返りを打ちながら声を漏らした。






「…ん、んーっ!よく寝たぁ〜!!」










「おはよう、杏奈」












「おはよ〜ぅ、杏里。あり?何で私病院のベットで寝てるの?」







杏里の挨拶に返答しつつ杏奈はあたりをきょろきょろ見回しながら言った。












「…Σ!!ぎ…銀時、何でここにいるの!?…と、後ろにいる可愛らしい女の子は誰?」








銀時は一瞬ビクッとしながら杏奈の問いにいつもの調子で答えた。
杏は一瞬顔を歪め悲しそうな顔をしたがすぐにいつものニコニコ笑顔に戻った。





「…あぁ、おまえが歩いていたら電信柱に頭をぶつけて気絶したから俺が病院まで運んだの。俺の後ろにいるのは……杏だ」










「そーなんだ。確かにちょっと頭が痛いかも…」




杏奈は頭で手を摩りながら言った。












「ごめんね、銀時。ここまで、運んでもらって…」







「いいって、別に。いつものことだろ」









銀時の返事に対し杏奈はぶっすーと頬を膨らませながら、







「ふーんだ!!」






と、そっぽを一瞬向き、すぐに杏の方にテコテコと歩いて行き、









「初めまして、杏ちゃん!私は柊杏奈、よろしくね」






杏に手を差し出しながら言った。








「…初めましてだねん。杏は、柊杏。杏って呼んでほしいねん」







「柊?あ、名字が同じなんだ」








杏奈はにこっと笑いながら、



「じゃぁ、私は杏って呼ぶから杏は私のこと好きに呼んでね」






「…なーねぃって呼んでいいねん?」




杏は少し下に俯きながら言った。





「うん、いいよー」



(結局なーねぃは杏のこと覚えていないんだ…)



そう思うと涙が出そうになったが堪えていつものニコニコ笑顔を作りながら杏奈に手を差し出した。







「よろしくねん、なーねぃ」






「うん、杏」




(実の妹と他人行儀な姉)