二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 白悪鬼と黒悪鬼が降臨した【銀魂】 真撰組殺乱編完結!! ( No.434 )
日時: 2011/09/28 21:59
名前: 柚莉(●>ω<●) ◆K5Psnlr5tM (ID: Y9gy.IyS)
参照: やっと完結うううううう!!!!





あなたは、いつになったら杏を思い出してくれるんですか———?



*番外編 無くなった記憶と———。 前編








「……なーねぃ、元気かねん…」








「ねェ、杏その“なーねぃ”って誰?」








「神威には関係ないねん」








「だってその台詞もう、1万回は聞いたよ」









「一々数えるなんて暇人ねん」








「杏に言われたくないよ」







宇宙海賊春雨の第7師団の船。



そこに住んでいる杏は自室の窓を見ながらまた同じことを言った。









「なーねぃ、元気かねん…」








「そんなに気になるなら地球に行ってみたらいいじゃねェか。どうせ江戸にいるだろ?お前も江戸にいたんだし」



杏は阿伏兎の問いに答えずに二人をじとっとにらみながら言った。





「…さっきから思ってたけど、神威も阿伏兎も何で当たり前のように杏の部屋にいるねん?」




そう、ここは杏の部屋なのだ。
なのに、男二人は普通に入って来て、一人のおっさんに限っては冷蔵庫を開けジュースを勝手に飲んでいる。





「いいじゃないか杏。俺と杏の仲だろ?」








「死ね神威」



—ヒュッ





杏は神威が喋ったと同時にクナイを投げたが、さすが夜兎族。
神威はニコニコ笑顔ですぐに交わした。








「チッ、外したか。じゃぁ、こんどはこの銃で…」








「ちょっと待て。それは俺にも被害が来るからやめてくれねーか」





杏はいつものニコニコ笑顔をやめ、銃で神威を殺ろうとしたが、阿伏兎に止められたので仕方がなく銃口を阿伏兎に向ける。











「何で俺に銃口向けたんだよ、このすっとこどっこい!!」










「阿伏兎がムカつくから。人のジュース勝手に飲んだから」





—バンッ





杏はそう言い切ると同時に躊躇なく撃った。




「おっつ、あぶねー…」








「しくじったか。もういっ—「いい加減にしてくれェ!」ケチ…」




何とかギリギリで避けた阿伏兎に対しもう一発撃とうとしたが阿伏兎が必死に止めるので杏はやめた。








「そういえば、杏が言っている人はどこに住んでいるの?」



神威が杏のジュースを勝手に飲みながら言った。







「……江戸」

(お前は人の話を聞くよん。さっき阿伏兎に言ったねん)





クナイと銃、両方を使い神威を殺そうとしたら、阿伏兎に“マジ勘弁”という顔をされたので杏はしぶしぶやめながら言った。










「杏はその人に会いたいの?」





神威の質問に杏はビクッと肩を上げた。












「神威には関係ないねん…」






杏はそう言い部屋を出て行った。

















廊下を歩きながら杏は思った。



(りーねぃは元気。なーねぃの隣で一緒に笑ってる…)





(会いたくない、と言ったら嘘になる。会いたい、と言ったら迷う)





(会ったとしてもあっちは杏を覚えててくれない…。それは、変えられない真実)







———な ー ね ぃ は じ ぶ ん の こ と を お ぼ え て い な い……。






その現実だけが杏の胸に突き刺さる。






(杏はこのままでいいんですねん。なーねぃに会ないままで、ずっと永久に…)




—本当にいいの?
自分が自分に問いかけた。




—それで後悔しないの?
後悔…。




(そんなの、するに決まってるねん)





(だけど、杏にはそんな勇気ない…)




(“あの時”のように…)




杏の頭に“あの時”の記憶が蘇る。

杏に対し発した第一声。






(「あなた誰ですか?」)



幼い杏にとっては精神的に深いダメージだった。


あぁ、冗談なんだ、と思った。
ただ、誤魔化しているだけだ…。

そう思った。
だが現実は杏をさらに追い詰めた。





(「あなたと私知り合いでしたっけ?それとも友達ですか?」)




この言葉に杏の精神は完全に崩壊した。
この後自分が何をしたか覚えていない。


ただ、覚えていたのは…。




———なーねぃの泣き顔と恐怖にまみれた顔だった。




その後杏はすぐに杏奈と杏里の前から姿を消した。




あの時の出来事を二度と繰り返さないために———。
自分に強くなるために———。






みんなを守れる力を手に入れるために———。













「…なーねぃ……」





杏の目から、一滴の雫が落ちた。