二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: いけめん!(銀魂) ( No.56 )
日時: 2010/05/15 15:20
名前: ポテト (ID: MvDA3keJ)

第10話

空は曇っていた

「さて、お嬢ちゃん。有り金全部よこしな」

「持ってません!一銭もこれっぽっちも持ってません!!マジ無いっす!ほら見て空っぽォォオオ!!」

「うっせェな!!耳元で叫ぶな!!」

あの後連れてかれたのはすぐ横の路地裏。
本当に殺されると思ったが、どうやらこのヤクザ様はクリーニング代を渡せば許してくれるらしい。

「でもそれ、ただの水ですよ!!大丈夫!すぐに乾きます!!あと金ないです!」

「・・・・・。」

「では失礼しまっす!あたしこの後塾あるんで!どうもスミマセンっしたァァ!!」

勢いで立ち去ろうとしたのだがやっぱり駄目だった。
ガシッと手を掴まれ、睨まれる。

「マジすいません!!逃げようとしてすいません!!だからそんなに涙目で睨まないでェ!!・・・え?」

・・・・涙目?

ゆっくりと顔を上げると、ヤクザのオッサンが泣きそうな顔でこっちを見ていた。

「あの〜・・・・なんか泣いてます?」

「・・・・。」

「・・・オッサンが涙目って結構ビジュアル的にキツイかな、なーんて・・・。
嘘です!!殴るのだけは勘弁!!」

ゆらりと動いたオッサンに勢い良く土下座をすると

ポン、と頭にてを置かれた。

「・・・・え?」

「怖がらせちまって悪かったな。ほら、行きな」

そう言ってオッサンは弱弱しく微笑んだ。

なんか股間に水つけたオッサンに微笑まれても・・・いや嘘です、スイマセン。

「あの・・・、何で?」

「・・・・聞きたいのかい?」

「・・・いや別に聞きたくな「そうか、聞きたいか。」・・・。」

「オッサンなぁ、元はこんなんじゃ無かったんだよ」

オッサンは勝手に話し出した。

「ちっと前までは普通の駄菓子屋やっててな、
可愛くねぇ娘が一人居たんだよ。
これでも子供好きなんだよオッサン。

え?いやオッサンMじゃないから。
何いきなり。

娘も大分デッカくなってきてな、うんちょうどお嬢ちゃん位。

反抗期ってもんがあるわけよ。
あぁ、お嬢ちゃんも?え?毎年反抗期?何だそりゃ。

そんでアイツ、ある日いきなり家に帰ってきて彼氏連れてきたもんだからオッサンも一緒に祝ってやろうとしたんだけどね。

いつのまにか娘の髪の色は金髪で、チャラついた男が彼氏だなんて言いやがる。

これにはオッサンもキレてねぇ。

怒鳴りつけて、
一発ぶん殴ってやったんだよ。
てめぇなんか帰って来んな、顔も見たくねぇってな。
何やってんだろうな、愛娘ぶん殴るなんて。

あぁ、その通りだ。

アイツ、次の日部屋ん中で死んでやがった。
自殺ってやつだ。」



「そんで俺もヤケになってヤクザの仲間入りって訳だ。ははっ、馬鹿らしいだろ?
お嬢ちゃんが謝ってるの見てたら何か思い出しちまってねぇ」

空はいつの間にか晴れていた。

「あれ?お嬢ちゃんちゃんと聞いてた?」

「あ、すいません途中から寝てました」

「ちょっと?!!人の悲しい過去を寝てましたでスルーするとか鬼なの君!!」

「いや、冗談です。最初から寝てました」

「もっと酷ぇ!!!」

あまりにも可哀想になってきたので慰めようと伸ばした手は他の手に掴まれてしまった。

「え?」



「お前もこの男の仲間か?」

全身黒尽くめの変な男に周りを囲まれる。

「やべぇ!・・・お嬢ちゃん、逃げろ!!」

オッサンの顔色が変わった。

「ホワッツ?!!何で?!」

「こいつらは、俺らの組を良く思っちゃいねぇ!!いわばライバルみたいなモンだ!!アンタだけでも逃げろ!!捕まったら最後、

間違いなく殺されるぞ!!」

「・・・もう捕まってます」

「マジかよォォオオオオ!!!」



どうしよう、変なのに巻き込まれたっぽいです。