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二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
- Re: 【怪物くん】 Stand up !! ( No.11 )
- 日時: 2010/05/23 18:58
- 名前: じら ◆gMiRbT/E9. (ID: 6p/pMq8e)
ひたすら痛みに耐えていると目に涙が浮かんできた。
怪物は驚いたように目を見開き、立ち上がって俺をまじまじと見下ろした。
かすかに動揺の色が見て取れたが、実は俺自身も涙が出たことに驚いていた。
涙とは、弱い人間の証ではなかったか。
悪魔界では確かそう言い伝えられていたはず。
ならば今の俺は悪魔ではなく強い人間でもなく————
「なーんか……今日はいつもよりよわっちぃなオマエ。悪魔じゃなくて人間になったのは本当みてぇだな」
怪物の言葉が、なぜか胸に突き刺さった。
悪魔だった頃に、こんな気分になった覚えはない。
怪物は数歩後ろに下がり、にやりと笑う。
「よしフランケン、俺が両手をバッて上げたらそこどけ。デカイのやってやる」
「坊ちゃん、何をするでガンスか?」
「さっきキマらなかったやつだ。特大の炎」
絶体絶命という言葉がこの国にはあるらしいが、今の状況を表すのならそれがまさに適切だと思った。
冗談じゃない。あんなのを人間の体で受けたらどうなるかわかったもんじゃない!
しかし焦る俺をよそに、怪物は大きく息を吸いこんでいる。
待て! 死ぬ! 俺を殺すな怪物!!
叫びたかったが上から押しつぶされているせいでひゅうひゅうという音が喉から出るだけだった。
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