二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【銀魂】 銀ノ鬼ハ空ヲ仰グ 【あんけーと!】 ( No.518 )
日時: 2011/12/25 19:58
名前: 李逗 ◆Dy9pHDxQUs (ID: bFAhhtl4)

第三十一訓  嫌いなもんは何をどう言われても嫌い。


「あら……? 万事屋さんじゃありませんか?」

ふいに呼ばれて、四人は食べる作業を中断してその声の主の方を見た。ついこの前の仕事で収入があったため、銀時、和月、神楽、新八の四人はここ甘味処魔亜逗でパフェだとかアイスだとか、各々好きなものを頼んで食べていたのである。

「久しぶりですね」

和月の右隣に立っていたのは、ウェイトレスらしき女性だった。いや、女性というより少女だろう。和月とあまり変わらない年齢のようだ。大人びた綺麗な顔立ちの美人さん。この前の穂乃嘉といい、最近は美人さんによく出会う。

「よう、麗じゃねーか」
「麗、久しぶりアルナ!」
「麗さん、こんにちは」

江戸で以外にも顔の広い三人は、その子のことを麗と呼んだ。

「新八さんも神楽ちゃんも久しぶり。……あら、」

麗が和月に気付き、互いの視線がかちあう。

「あら、新入りさん?」
「こないだ来たんだよ。和月ってんだ」

銀時がそっけなく言うと、麗はにこりと微笑んだ。年齢不相応の大人びた笑顔だ。

「和月さんって言うんですか? 私は琴吹麗と申します」
「よろしく!」

聞けば麗は、和月の一つ下の十六歳で新八と同い年だという。身長も歳のわりにすらりと高い。
軽くあいさつをすませて銀時はいちごパフェを食べるのを再開すると、そのスプーンでぴっと和月を差した。

「つーかアレだな。お前等並んで立ったら多分和月の方が年下に見えるぜ。お前チビだ」

それから先の銀時の言葉は紡がれなかった。和月が間髪入れず投げつけた灰皿は、銀時の顔面に直撃して跳ね上がり、そのまま店の奥に飛んでいく。直後、ゴツリという鈍い音。

「でっ!」

音とほぼ同時に発せられたその声は、和月が投げた灰皿が誰かの頭に直撃したことを意味していた。神楽を除く四人の顔が(銀時は鼻血を出しながら)ざっと青ざめる。

『何やってんですかァァあんたは!!』
『うるっさい新八だって銀時兄ィがチビとか言うから!!』
『ぜんぶ銀ちゃんが悪いアル』
『私もそう思います。すべて銀さんのせいです』
『何これ集団いじめ? 泣いていい?』

以上、全文テレパシー。

「とにかく私が対応してきますね」
「あー、あたしも行く」

和月は麗と立ち上がり、灰皿の飛んでいった方へと向かった。後ろからは銀時たちも着いてきている。慰謝料要求されたらどうしようか。そればかりで真っ青な顔をしていた和月の顔、もとい四人の顔は、次の瞬間げんなりとした顔に変わった。

「……なんだ、お前等か」

灰皿が当たり、頭を抑えているのは藍色の髪——寥だった。その回りにはアリス、土方、沖田がいる。近藤がいないのは、大方ストーキングに勤しんでいるからだろう。土方は銀時を見て、あからさまに面倒な奴等と会った、というような顔をした。

「アリスアル!」

神楽は一度沖田をじろと睨みつけると、アリスと見つけて歓喜の声を上げた。

「……悪魔さん」

誰のものだろうと思うほど、低い声。それを発したのは麗だった。にこやかに笑ってはいるが明らかに不機嫌だ。

「何の用でこちらへ?」

その視線の先にいるのは沖田だった。前会ったときと同じポーカーフェイスで、何でィと言いたげにこちらを見る。

「何の用も糞もねーだろィ。甘味屋に来てんだ、目的は分かるだろーが」
「貴方には来て欲しくありませんので」

何故ここまで麗が不機嫌なのか分からず、和月は銀時に視線を送った。麗の沖田への視線からは、ほぼ本気で彼を嫌悪していることが感じ取れる。一方視線を向けられた銀時も、よく状況を把握できていないらしく、小さく首を傾けて見せた。

「父親が俺に殺されたってーのは、この前勘違いだったって分かったんじゃねーのか」
「ええ。その件では申し訳なかったと思っていますが、人殺しは嫌いなので」

その台詞を言うと、急にふっとまわりの空気が和らいだ。
先ほどの会話から察するに、麗は父親が沖田に殺されたものと勘違いしていたということだろうか。それならばあの麗の雰囲気も頷ける。沖田はわかりゃいい、とでも言いたげに鼻を鳴らした。

「では銀さん達、席に戻りましょう」

麗はそう言うと、左手で神楽の、右手で和月の背を押して席へと促した。

「人の頭に灰皿ぶつけといて、謝れ銀メダル!」
「ぶつけてねーし飛んでっただけだし!」

後方から飛んできた寥の言葉を一蹴して、和月はそれにばーか、と付け足した。

「ごめんなさい皆さん。お騒がせしてしまって」
「いや、騒がせたのは僕等ですから。謝らないで下さい」

新八の言葉に麗はにこりと笑うと、では仕事があるので、と踵を返した。

……が。


「くたばれ悪魔ァァァァァア!!!」


怒号とともに、麗はきらりと銀色に光る数本の針を沖田めがけて投げつけた。


「「「何っでそーなんのォォ!?」」



その後真選組との大乱闘になったのは言わずもがなのことである。(新八とアリス傍観)



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一ヶ月ぶりに文書いたら書き方とか口調とか忘れました。
何このgdgd。
ごめんなさいリリぃぃぃ!!