二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

TEARS OF SAFFLOWER 4 ( No.28 )
日時: 2010/06/03 22:00
名前: 暁月 ◆1pEIfYwjr. (ID: MIiIBvYo)
参照: http://almpo.blog109.fc2.com/


自分が今日成すべき業務をイヅルに押しつけたギンはのんびりと隊舎の廊下で和んでいた。
縁側に座り込んで中庭に生える植物を眺め、ぶらぶらと足を泳がせる。

「やぁ、ギン。機嫌でも良いのかい?」
突然背後から降って来た声、其れは良く知る藍染のものだ。
「分かります?いややわぁ、藍染隊長には隠し事も出来ませんわ」
ギンは後ろを振り向かず話す。心做しか其の声音は少し弾んでいて。
其れにふっと藍染が微笑んだ。
「長い付き合いだから直ぐに分かる、君の事は。然し部下に業務を押し付けるのは感心しないな。吉良君が嘆いていたよ」
「あァ、イヅルが」
そんなん何時もの事です、とけらけら笑いながら言うギンを藍染は咎めなかった。
「だがギン——…」
「あーっ!市丸隊長何サボっていらっしゃるのですか!早く執務室にお戻りください!」

廊下の反対側から大きな声で陽樹が声を出す。恐らくイヅルにギンを探すように頼まれたのだろう。
——あないに大きな声出さんでも聞こえてんのに。ギンがくすりと吹き出すと。
「束原君も大変だろうに。君は如何して業務を抜け出すのかな。昔から何時も—」
「あの子、直ぐにボクの事見つけるんですわ。今日も一人で僕を迎えに来てくれはりました」
藍染の言葉を遮る様にギンが言った。そんな彼に呆れて溜息を吐き藍染は。
「…良い事じゃないか。機嫌が良いのは其れが原因かい?」
「其れもそうですけど…今日はほんまにええ日です」
立ち上がって「ほな、また」と手を振って去って行くギン。
ばたばた走ってそんな彼を急かす陽樹の姿が藍染の目に止まる。
嗚呼、矢張り。
「面倒な事になりそうだ…」
ぼそりと呟いた藍染の言葉は吹いた風にかき消された。


 4.To you whom I love... 3


「業務を終わらせないとお昼の話は無しにしますよ」
「嘘!嫌やそんなん!」