二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 東方 『神身伝』 ( No.12 )
日時: 2010/05/07 17:29
名前: お⑨ (ID: a32fGRWE)

〈間行〉
 

カツン、カツン、カツン、カツン。

綺麗に掃除されたタイル張りの広い廊下を、二つの影が歩く。
一人は女性で、ふくよかな胸の谷間が大胆に見えるセクシーな紺色の和服を着ていて、紅色の髪をぽっちりの付いたゴムで、小さなツインテールにしてる。 
しかし、それよりも目を引くのは、彼女が手に持つ大きな鎌だ。 
まるで『死神』を思わせる大きな鎌を、和服姿の女性は違和感なく持っている。 
もう一人は男性で、こちらは至ってシンプルな黒いスーツ姿の男性だ。
だが、手には難しい漢字の書かれた見慣れない尺が握られていて、妙にそれが浮いて見える。
男は女性の後を歩いていて、どこかに案内してもらっているようだ

「悪いねぇ小町ちゃん、休憩中だったんだろう?」

男は低く太い声で、申し訳なさそうに前を歩く女性に声を掛ける。

「いやいや、気にしないで下さい。
あたいの休憩はこの程度の時間で無くなりませんから。」

小町と呼ばれた女性は、首だけ後ろに向けて満面の笑みで答える。 

コツン

「いて!」

そんな彼女の頭を何かがこついた。

「私は、貴方にそこまでの休憩時間を与えた覚えは有りませんが?」

小町が顔の筋肉を引く尽かせ、恐る恐る声のする方向に視線をむける。
そこには小町より一回り小さな、青い髪の少女が立っていた。

「え、映姫様、どうしてこちらへ。」

「私が私の客人を迎えに来るのに理由が必要ですか?」

映姫と呼ばれたその少女の手には、男の持つ物と同じ尺が有り、小町に怪訝な眼差しを向けながらそれで口元を隠している。

「そんな事より………貴女わ……またさぼっていたのですね。」

映姫は絵に書いたような綺麗で『真っ黒』な笑顔を小町に向ける。

「いやぁ〜あのぉ〜ですね。」

「問答無用です。だいたい貴女は。」

「はいはいはい、映姫ちゃん今日はそこまでな。私を迎えに来てくれたんだろ?」

小町への説教が始まった瞬間に男が間に入り、それを強制的に止めに入る。

「し、しかし。」

「今回は、私の顔を立ててくれ。」

男は、これ以上無い爽やかかな笑顔を浮かべて言う。

「あ、貴男がそう言うのなら、仕方がありません。」

映姫は、不完全燃焼全開の不満な顔で渋々男に従う。

「だってさ小町ちゃん。
ありがとう、後は映姫ちゃんに案内してもらうから。」

「は、はい。あ、ありがとうございました。」

小町は、深々と頭を下げると、逃げるようにその場から去っていった。