二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 東方 『神身伝』 ( No.15 )
日時: 2010/05/08 10:02
名前: お⑨ (ID: NzSRvas.)

第二章 続

愛も変わらず真っ白で綺麗な毛並みに凛とした顔でこちらを見つめている。
手が届くところまで近づいていくと、狼は下を向いて耳を下にたらしてしまった。
見るからに申し訳なさそうな感じがにじみ出ている。

『どうしたんだ?』

思わず、話しかけていた。

『私は、貴方に私の使命を背負わせてしまった。』

使命?何の話だ?それよりもいまお前は何処にいるんだ?生きているなら姿を見せてくれ。
聞きたい事が山ほど有るのに、先程と違って言葉が出てこない。

『本当に、申し訳ない。』

だから、何の話なんだよ?
聞きたい、でも言葉が発せられない。
でも、何かを俺に『託した』その事だけは解った。

『それは、誰にでも背負わせられる物だったのか?』

言葉が出る、何故だ?

『いえ、貴方だから、貴方にだから私は・・・・・・・』

狼は、俺の目を見つめて強い口調で言う。
 
『解った、背負うよ』

俺はしゃがみ込んで、狼を優しく抱きながら決意した。

『君が俺を信頼して託してくれた何かを、必ず・・・・・必ず守り抜いて見せる。』

狼は、冬馬の言葉を黙って聞き、そして、抱きつく冬馬の頬にその頭を摺り寄せる。

『貴方で、本当に良かった。
どんな事があっても、絶対に死なないで。
貴方の命は世界の希望です。』

狼はそれを告げると、身体が光を放ち始めそのまま光の球体に姿を変えて宙に浮いていく。

『忘れないで、貴方の命は希望の光・・・・・・・・私は貴方の中に。』

そして、光の球体はそのまま冬馬の中へと消えていった。