二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

Re: 【3z】 刹那恋鎖。 ( No.5 )
日時: 2010/05/09 10:21
名前: 牙暁 ◆NIJKkC7BnA (ID: 3r6DhwLS)

 【夜道】(前編)

キーンコーンカーンコーン………

「…おはよう御座いまーす。………あれ?」

秋の風と一緒に、全力疾走で銀魂高校三階の一番端の教室に駆け込む。
滑り込みセーフの格好で息を切らした僕が言うと、未だ担任は来ていなかった。

例の如く早弁していた神楽が、教室の真ん中で箸を振り上げて手を振る。

「雅焔ー! 今日もギリギリアル」
「うん、危なかった」
「銀ちゃん何時も遅いんだから、雅焔も毎日もっと遅く起きても平気ネ」
「ホントだね……」

折角全力疾走してきたのに、と笑っていると、やっと教室の扉がからからと開く音がした。
其れすらもやる気なさげに聞こえる。

「お前ら席つけー。
チャイムが鳴ったら座りましょうって小学校で習っただろーが」

遅れて来たにも関わらずふてぶてしくそう言う銀八を見て、全員が取り敢えず席に着く。
教卓の上にバサッとジャンプを置いて、何時もの死んだ目で銀八がぐるっと生徒を見回す。


一瞬だけ、目が合った。


───…あー、今日1日幸せだ、僕。

そんな事を考えてニヤける口元をセーターの袖で隠して笑う。

「イヤ、先生が中々来ないからじゃないですか」
「うるせーよダメガネ。じゃ、日直ー雅焔ー」
「ダメガネ言うなァァァ!」
「起立」
「Σスルーなの!? 雅焔ちゃん、其れ冷たいよね!」
「あ、御免新八。礼」
「軽っ! 僕への扱い軽っ!」

頭を抱える新八の横の席に着いた僕は、ぱったりと机に顔を伏せた。
心蔵の音が、何時もより早い。

僕は銀八先生が好き。
天パで白髪。ジャンプに眼鏡に、銜え煙草。
やる気が感じられない。
僕と同じ甘党。糖尿病予備軍。

そんな彼が、愛おしい。


何故僕が銀八を好きになったかというと、少し前に遡る───。